相続税の税率と基礎控除と計算方法と税理士の活用方法
2022-06-072022-07-20
一言でいうと?
相続税の税率は10〜55%と幅広く、累進課税のため計算方法は相続する金額で変わるので、正しい財産の評価と申告、節税を目的に税理士を活用すると良いでしょう。
目次
相続税とは?
相続とは、人が亡くなった際に、その人が生前に所有していた財産(マイナスの財産も含む)や権利、義務を特定の人に引き継ぐことを意味します。
亡くなった方を被相続人といい、引き継ぐ人を相続人と呼びます。相続人は範囲と順位が定められており、これを法定相続人と呼びます。第一順位の法定相続人は配偶者と直系卑属です。第二順位の法定相続人は配偶者と直系尊属です。第三順位の法定相続人は配偶者と兄弟姉妹です。
そして相続税とは、被相続人が残した財産が一定基準を上回る場合に、相続人が払う税金です。これは原則として、相続人の住所が日本国内にある場合には、相続財産が国内外問わず、すべての財産を対象にして相続税がかけられます。相続人の住所が日本国内になく、かつ日本国籍がないような一定の場合には、相続した財産のうち、日本国内にある財産だけが相続税の対象となります。ちなみに相続税の支払期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内とされています。
相続税の税率と基礎控除額
相続税は相続を受ける金額が高くなればなるほど税率が上がる累進課税が適用されます。ただし、累進課税が適用される税額の計算は、原則として法定相続人が法定相続分に応じて相続財産を相続した、と仮定してまず計算されますので、法定相続人が法定相続分に応じて相続したとされる金額が多ければ多いほど、納めるべき税金も高くなるということです。
相続税の基礎控除額を求める計算式は「3000万円+(600万円×法定相続人の人数)」です。つまり法定相続人が1人しかいない場合は、3600万円となりますので、遺産総額が3600万円を超えなければ、相続税は発生しません。ちなみに2020年にMUFG資産形成研究所が行った「退職前後世代が経験した資産承継に関する実態調査」 によると相続した財産の平均は3273万円でした。
相続税の税率は以下のとおりです。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | – |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
遺産総額が1億円で法定相続人が二人(配偶者と子供一人)の場合の相続税
遺産総額が1億円で法定相続人が配偶者と子供一人だった場合の相続税はどうなるのでしょうか。
まずは基礎控除額は以下のとおりです。
遺産総額1億円の基礎控除額:3000万円+(600万円×2)=4200万円
つまり遺産総額1億円から基礎控除額の4200万円を引いた5800万円が課税対象となります。
次に先程紹介した相続税率に当てはめて相続税を計算します。ちなみに配偶者と子供一人の法定相続分の遺産取得割合はどちらも50%となるため、配偶者も子供も2900万円を相続します。
遺産総額1億円の相続税:(2900万円×税率15%)ー控除額50万円=385万円
遺産総額が1億円で、配偶者と子供の合計2人で相続する場合の相続税は配偶者も子供も385万円となります。
相続と相続税において注意すべきこと
相続は「争続」とも呼ばれるほど、相続人間で揉めて簡単ではないケースがあります。相続人全員が納得する相続となるかどうかにおいて、いくつかの障害となり得るかもしれない注意点を紹介します。
・法的に有効な遺言書が見つかった:相続人の意向とは無関係に、原則遺言書通りに相続しなければなりません。
・法的に無効な遺言書が見つかった:法的には無効であるため、従う必要性はそこまでありませんが、被相続人の意向をどこまで取り入れるかで揉めることがあります。
・遺産分割協議で揉める:遺産を誰がどの程度分割するかを決める話し合いであるため、それぞれがお互いの立場を主張し、スムーズに決まらないことがよくあります。
・遺留分:遺言書で特定の相続人にいくら相続するかを指定することは可能ですが、その内容が各法定相続人が最低限有する権利(遺留分)を侵害している場合、その方から遺留分を主張されるケースがあります。
・生前贈与を受けている方がいた場合:特定の法定相続人に生前に財産を贈与していた場合、これを特別受益といい、他の法定相続人から不公平であると言われます。この特別受益についても、遺留分の計算の対象になりますので、注意が必要です。
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相続と相続税の申告における税理士の活用方法
先述した通り、相続税が発生しないケースでは税理士は必要ありませんが、相続税を申告するという必要性がある方にとって、税理士に依頼することは、もちろん費用はかかりますが、メリットも大きいです。相続税申告は複雑で依頼者にとっての負担が大きいからです。例えば、以下のようなメリットがあります。
・時間の削減ができて手続きが簡単であるため相続人の負担が減少
・適正な財産評価
・適正な税額算出
・適正な控除制度
・万が一税務調査が入っても対応してもらえる
・節税策の提案
相続には2種類あります。予測できた相続とそうでない相続です。どちらであったとしても上記のメリットは十分に得られますが、予測できる相続においてだけ節税の提案を受けることができます。終活などを通して相続や相続税対策を考えている方は税理士に相談してみることをおすすめします。