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建設中の家屋の相続税評価と前払いがあった場合の取り扱い

2023-05-262023-05-26

家屋の相続税の評価

相続税の対象となる家屋の評価方法は非常にシンプルです。家屋の評価額は、固定資産税評価額に1.0を掛けて計算されます。そのため、基本的には相続税の評価において家屋が問題になることはありません。しかし、建設中の家屋を評価する場合には問題が生じます。なぜなら、建設中の家屋にはまだ固定資産税評価額が存在しないからです。

建設中の家屋の評価

建設中の家屋の評価は、以下の計算式で行われます。

費用現価の額 × 70%

「費用現価の額」とは、相続税が課税されるタイミング(「課税時期」と呼ばれる)までに建物に投下された建築費用を、その課税時期までの価値に再評価した合計額のことを指します。

具体的には、工事請負代金に課税時期までの進捗割合を乗じて計算されます。例えば、建築費が4,000万円で進捗割合が60%の場合、費用現価の額は2,400万円となります。

なお、進捗割合は実務上、業者から提供される「進捗率証明書」などの書類を基に算出されることが一般的です。

前払金等がある場合の注意点

建設中の家屋には、前払金などの取り扱いについて注意が必要です。前述の例で、仮に4,000万円の前払金を業者に支払った場合を考えましょう。この場合、費用現価の額は2,400万円となり、その差額の1,600万円は未だに前払金のままです。前払金のような金銭債権は相続税の対象となる相続財産ですので、その分は「前払金」として申告する必要があります。

逆に、2,000万円だけ前払いしていたとします。この場合、費用現価は2,400万円となり、建設中の家屋に振り替わる金額が前払金を超えていることになります。この場合、差額の400万円は、業者への支払い不足と見なされ、相続財産のマイナスとして相続税の計算に反映されます。

建設中の家屋に関する問題では、上記の計算例ばかりが頭に浮かびがちですが、それに伴う金銭債権や金銭債務の問題も生じることに注意が必要です。

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