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祭祀財産や庭内神しが相続税非課税となるための要件

2023-05-092023-06-30

相続税非課税となる祭祀財産

相続した全ての財産に相続税が課税されるわけではありません。相続税非課税となる代表的な財産は墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など、日常礼拝をしている祭祀財産です。

生前に被相続人のお金でお墓を建てたり、仏像を購入したりするというような話が相続税を抑えるための対策として有名ですが、これはこの非課税財産の取扱いを踏まえたものです。

仏具等とは?仏具等の範囲とは?

ただし、非課税財産となる仏具等にもある程度範囲が定められています。範囲外となる典型例は、純金製の仏像です。日常礼拝をする上でその仏像が純金製でなければならないかといえば、疑問が残ります。そのため投機等の対象財産として課税されるという可能性が残ります。その他に庭内神し(ていないしんし)と言われる財産が数年前に問題になりました。

庭内神しとは、屋敷の中にある神の社です。ご神体を祀り日常礼拝します。ご神体の一例としては、不動尊や稲荷など、地域住民などの信仰の対象とされているものを指します。

この庭内神しですが、日常礼拝しているという点から考えると、仏具等と同じ祭祀財産と考えることができます。しかし国税は、庭内神しそのものは非課税としつつも、その敷地となる土地については課税対象としていました。この点、ある裁判で争われ、国税が敗訴しました。その結果、現状は庭内神しの敷地は、原則として相続税の非課税財産とされています。

庭内神しの敷地が非課税となるための要件

原則として非課税と書きました。しかし、庭内神しの敷地は無条件に非課税財産とされるするのは早計です。具体的には、以下の要件を満たす必要があるでしょう。

(1)「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性などの面
(2)その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的に照らした面
(3)現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能面

庭内神しと敷地が、社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地について、相続税の非課税財産になると判断されています。これらの要件を満たしているかどうかは専門家のアドバイスを求めると良いでしょう。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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