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相続税の土地の財産評価において最も複雑な雑種地

2022-05-312023-06-30

雑種地の評価

相続税の土地の財産評価において最も複雑なものは、雑種地の評価と言われます。雑種地とは、文字通り、農地や宅地など国税が個別に評価のルールを決めている土地以外の土地という意味であり、幅広いものが該当します。代表的なものとして、駐車場やゴルフ場用地、遊園地等用地などが挙げられます。この雑種地の評価は、原則として、評価対象地と状況が類似する付近の土地(近傍地)について評価した1平方メートル当たりの価額を基に、所定の調整を行って評価する、近傍地比準価額方式で評価されることになります。

市街化調整区域内にある雑種地

この評価方法は、市街化調整区域内にある雑種地においても同様です。市街化調整区域内とは、地方公共団体が個別に定めている、市街化を抑制する区域をいい、この区域にあっては建物を建てることが困難であり、土地の有効利用が難しいと言われます。この点を踏まえ、市街化調整区域内にある土地については、評価額を押さえる仕組みが取られており、この点雑種地においても同様です。

ただし、雑種地は近傍地比準価額方式になりますので、より評価対象地の周囲の状況を踏まえる必要があることから、同じ市街化調整区域内であっても、その周囲の状況に応じて細かく評価方法が定められています。

周囲の状況が農地や山林、原野の場合

周囲の状況が農地や山林、そして原野のように、建物が建てられる宅地のない地域であれば、市街化の影響度が弱いとして、農地や山林、原価に準じて評価されることになります。

周囲の状況が店舗等の建築が可能な幹線道路などの場合

幹線道路に大型店舗が出店している地域の周囲や、通常の市街化区域との境界付近の地域であれば、店舗などを建てられる訳ですから、宅地に準じて評価することが妥当とされます。この場合には、宅地に準じて評価した金額に対し、原則として30%の減額が認められますが、宅地価格と同じ取引実態が認められる地域なら、この減額は認められません。

中間の地域

上記二つの地域の中間の地域については、周囲の状況を個別に判定し、農地等に準じて評価するか、若しくは宅地に準じて評価するかを判断します。なお、後者の場合には、50%減額が認められるとされています。

個別判断が多い

いずれにしても、市街化調整区域内の雑種地の評価は個別判定する部分が多く、専門家でも判断に迷います。このため、慎重に対応する必要があります。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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