税務署と国税局の税務調査の違い
2022-01-252022-07-20
一言でいうと?
税務署と国税局共に税務調査を行うが、税務署は比較的軽い事案に任意調査を行い、国税局が扱う事案の方が重いため、強行的な調査も行われやすいです。
目次
税務署と国税局の違い
税を扱う公的機関として名前を聞くことのある「税務署」と「国税局」ですが、それぞれがそれぞれの目的を持って働く機関である事は内情を知らずとも頷けるでしょう。
税務署と国税局はどちらも税務調査を行います。税務調査とはドラマや映画で名前を聞いた事がある人もいるでしょう、いわゆる「マルサ」が行う調査も、この税務調査に含まれる場合があります。では、税務署が行う税務調査と国税局が行う税務調査に違いはあるのか、ここではそれを簡単に解説していきます。
税務調査とは
税務調査は納税者が申告した納税内容に不正や誤りがないかを確認する調査の事です。たとえば確定申告で届け出た内容に虚偽に疑いがあったり、会社が法人税等の申告に不正の疑いがあったりする場合に税務調査は行われます。
これは日本におけるほとんどの税金が納税者の申告額によって納税を行うしくみ「申告納税制度」を採用している為、納税者側から納税額をごまかされないように公正さを保つ為に必要な行為です。
税務署と国税局のはなし
税務調査の話をする前にそれぞれの公的機関について簡単に触れておきます。これらはどちらも国税庁に所属しています。国税庁とは、財務省の外局です。構造的には財務省の中に国税庁が、国税庁の中に国税局があって、その下に税務署があるようになっています。それぞれの機関についての説明は以下のとおりです。
税務署とは
税務署は組織のライン構造上では一番下に存在していますが、言い換えれば第一線で働く組織ということです。国税局と税務署は国税を扱う機関ですから、税務署が国税の納税者と一番やり取りする機関と言えるでしょう。たとえば確定申告の各手続きや消費税に関する申請を行うのは、納税地を所轄している税務署です。
国税局とは
国税局は税務署を指導する立場であると共に、税務署では抱えきれない大きな問題を請け負う機関でもあります。いわゆる「マルサ」と呼ばれる部署はこの国税局の査察部を指します。
税務署は各都道府県に1つ以上設置されているのに対して国税局は全国で11箇所です。マルサの他にも富裕層や多額の不正が見込まれる納税者に対し、かなり厳しい税務調査を行う部署、通称リョウチョウなどがあります。
国税局が行う税務調査にはマルサが行う調査もある
任意調査と強制調査、2種類ある税務調査のうち国税局査察部、通称マルサが行うのは原則として強制調査の方です。脱税額が、1億円超えなどの極悪な脱税行為に対し、犯罪捜査として行われます。ドラマや映画で警察が行う家宅捜査さながらに強行されるのがマルサの強制調査です。それもそのはず、強制捜査を行う国税調査官は、裁判所の令状を持って現場に現れます。無予告で行われる場合でも、納税者はこの査察の強制調査は拒否できません。
強制調査以外の、国税局が行う調査は任意調査になりますが、規模の大きな会社を調査することもあって、税務署よりは厳しい調査が行われます。
税務署が行う税務調査は任意調査
税務署が行う税務調査はすべて任意調査です。税務調査官が持つ質問検査権に基づき納税者の許可を得た上で行う調査です。原則として事前にいつ調査が入るかを示される点や、ルール上任意調査は正当な理由があれば延期等が出来る点などを見ると、マルサが行う強制調査より厳しさが低い事が分かります。しかし、税務調査を拒む事は違法であり、罰則が発生する可能性もありますので必ずいつか受けなければなりません。
また税務署職員は質問検査権を有しており、税金に関する質問ができます。この質問を投げられた納税者は黙秘できません。
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税務署と国税局がそれぞれ行う税務調査
組織構造を見ても、国税局の方が税務署より大きい案件を扱い、行使力が強い調査を行う事は理解できたでしょう。