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小規模宅地の特例に農業や家庭菜園は対象に含まれるか

2022-12-132023-06-30

相続税で高確率で適用される小規模宅地の特例

相続税を考える上で、もしも可能であれば小規模宅地の特例は必ず適用すべきです。小規模宅地の特例とは、被相続人が事業や居住の用に供していた一定の要件を満たす宅地について、その評価額を最大で80%減額させるという特例です。ただし問題となるのが農業です。

小規模宅地の特例は原則対象外の農業

農業も事業です。ですから、基本的に小規模宅地の特例の対象になると考えがちです。しかし、実はそうではありません。農業は基本、小規模宅地の特例の対象外とされています。なぜなら、農業には農地の納税猶予という別の特例が認められているからです。

農地の納税猶予という特例とは、一定の農地を相続等した農業の後継者について、農地に係る相続税額などの納税を猶予するというものです。

小規模宅地の特例は評価額を下げ、納税額そのものを減らす制度です。税金の納税を猶予するものではありませんが、相続税の特例であることは間違いありません。同じ特例を複数使うことを認めると有利となってしまいます。ですから、農業については農地の納税猶予を使い、小規模宅地の特例は対象外とされています。

農業で小規模宅地の特例が認められるケース

農業で小規模宅地の特例が認められるケースを紹介します。

  1. 農業用耕うん機、トラクター、農機具等の収納用の建物の敷地の用に供される土地
    しかし、以下のような場合は除かれます。
    ・温室その他の建物でその敷地が耕作の用に供されているもの。
    ・暗渠その他の構築物でその敷地が耕作・養畜等の用に供されるもの。
  2. 一定の農作業場

耕作の用に供されるものは除かれます。基本的には農機具置き場のようなものが対象となります。この判定は非常に難しいので、詳細は税理士などの専門家に確認することとしましょう。

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家庭菜園は小規模宅地の特例が認められるか

では家庭菜園は小規模宅地の特例が認められるのでしょうか。これについては、例えば庭を利用した家庭菜園のようなものであれば、居住用宅地の一環と見ることが出来るため、小規模宅地の特例の対象になる居住用宅地の一つとみなされることもあります。

ただし一点注意が必要です。例えば居住用宅地の一環とされているにも関わらず、家と道路を挟んで反対側に家庭菜園がある、といった場合は難しいでしょう。最終的には社会通念上、妥当かどうか、常識的かどうかという判断になりますが、専門家に相談しながら、慎重に判断したほうが良いでしょう。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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