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特殊支配同族会社

2023-04-272023-04-27

一言でいうと?

特殊支配同族会社(とくしゅしはいどうぞくがいしゃ)とは、1人会社もしくは、親族だけで経営権を握っている会社で、業務主宰役員とその関連者が、発行済株式総数の90%以上の株式を有し、かつ、常務に従事する役員などが過半数を占める場合と規定されています。

特殊支配同族会社とは

特殊支配同族会社とは、業務主宰役員グループ(業務主宰役員やその親族、関連会社)の持株などの割合が90%以上で、常務に従事する役員の総数に対する「業務主宰役員」と常務に従事する「業務主宰役員関連者」の数の割合が50%超の同族会社のことをいいます。

また、特殊支配同族会社に該当するかどうかの判定は、当該法人の事業年度の終了の時の現況で判断されますが、同族会社の判定のない公益法人(財団法人)、社団法人、NPO法人、医療法人、社会福祉法人、学校法人、中間法人、宗教法人税理士法人等は対象から除かれます。

特殊支配同族会社となる要件

特殊支配同族会社の対象とされるには、業務主宰役員グループによる持株などの割合や、業務主宰役員たる条件、役員関連者の範囲などが一定の要件に当てはまる必要があります。

特殊支配同族会社の条件となる持株などの割合の要件

特殊支配同族会社には、業務主宰役員グループ(業務主宰役員やその親族、関連会社)の持株等の割合が90%以上という条件がありますが、90%以上となる持株等とは、以下のいずれかを言います。

【持株要件】

発行済み株式又は出資の総数又は総額の90%以上

【議決権要件】

合併・解散等、役員の選任・解任、役員報酬等、配当に関する議決権の総数の90%以上の議決権

【株主数要件】

同族会社の株主等(合同会社、合資会社、合名会社の社員)の総数の90%以上

特殊支配同族会社の「業務主宰役員」とは

特殊支配同族会社の業務主宰役員とは、会社の経営権を行使して職務を執行する中心的な役員で、通常は、代表取締役社長が該当しますが、勤務状況・役員報酬額など実態によって判断され、場合によっては代表取締役社長の子供などが認定される場合もあります。

特殊支配同族会社の「業務主宰役員関連者」の範囲とは

特殊支配同族会社の業務主宰役員関連者の範囲は以下のようになります。

1.業務主宰役員の親族

2.業務主宰役員と事実上婚姻関係と同様の関係の事情にある者

3.業務主宰役員の使用人

4.業務主宰役員から金銭等の資産によって生計を維持しているもの

5.1~3の者と生計を一にする親族

6.業務主宰役員と上記の者が90%以上の株式・出資を所有している場合のその同族会社なども含まれ、また、これらの個人や法人と同一の内容の議決権を行使することに同意している者も含まれます。

特殊支配同族会社の「業務主宰役員」の親族とは

業務主宰役員の親族とは、「6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族」を言い、本人のいとこの孫や、配偶者の甥姪も含むかなり広範囲となります。

ただし、本人のいとこの配偶者、配偶者の兄弟の配偶者、配偶者のおじおばの配偶者などは、親族から外れます。

特殊支配同族会社の損金不算入制度とその廃止

平成18年に施行された会社法により法人を作ることが容易になったことから、特殊支配同族会社の基準所得金額が年1,600万円を超えるなどの条件の元、社長(業務主宰役員)の役員報酬のうち給与所得控除相当額が損金不算入となっていました。

特殊支配同族会社の基準所得金額は前3年間の法人の所得金額と社長の役員報酬の合計額を3で割った1年間の平均金額で、新設法人は当期の事業年度を基にします。

ただし「特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度」は平成22年4月決算から廃止されています。

特殊支配同族会社の損金不算入制度の廃止の背景と問題点

一人会社などの同族会社において、オーナーの役員給与が、法人段階で損金算入され、個人段階でも給与所得控除をうけるのは「経費の二重控除」であると考えられ、「特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度」が、同族会社の法人成り後の課税ベースを個人事業での課税ベースと同水準とすることを目的として平成18年に導入されました。

しかし法人を個人と混同している、1人オーナー法人のみを特定して不公正であるなどの問題点もあり、この制度は廃止となりましたが、何らかの代替措置が今後の税制改正で行われることが予想されています。

特殊支配同族会社のよもやま話・豆知識

特殊支配同族会社の役員総数の数え方

特殊支配同族会社は、常務に従事する役員の総数に対する「業務主宰役員」と常務に従事する「業務主宰役員関連者」の数の割合が50%超の同族会社のことをいいますが、形式的な役員は総数から除かれるため注意が必要となります。

例として、家族5人が役員の場合、業務主宰の父親と常務に従事している母親で2/5となることから過半数にならないと判断されますが、もし役員のうち子供3人が学生で、名前だけの役員で常務に従事していない場合は、役員の総数は5人ではなく2人となり特殊支配同族会社の適用対象となります。

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