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適用額明細書

2023-04-272023-04-27

一言でいうと?

適用額明細書(てきようがくめいさいしょ)とは、法人税額や所得金額を少なくする特例(法人税関係特別措置)を適用した場合に、その法人が適用した特例を一覧にして明示した書類で、法人税関係特別措置のうち税額又は所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に適用額明細書を添付し、税務署に提出する必要があります。

適用額明細書とは

適用額明細書とは、租税特別措置法の適用によって、所得金額や税額が減少した場合に、法人税申告書に添付して提出することが必要となる明細書です。

平成22年度税制改正で、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定されたため、租税特別措置法の適用を受けた場合には、適用額明細書の添付が義務付けられました。

法人税は、法人税法で規定されていますが、法人税の特例制度の多くは、租税特別措置法という別の法律で定められています。

適用額明細書の提出が必要な「法人税関係特別措置」とは

適用額明細書の提出が必要な法人税関係特別措置とは、法人税法とは別に、例外的に国が促進したい特定の政策について、一定の要件のもとで税制措置で優遇する制度です。

例えば中小企業者等の法人税率の特例、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却、中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入の特例、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例などがあリますが、代表的なものは、中小企業者等の法人税率の特例、と少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例の2例で、この2つで案件の90%になります。

適用額明細書の提出が必要な「中小企業者等の法人税率の特例」

適用額明細書の提出が必要な「中小企業者等の法人税率の特例」とは、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人である中小企業者等の法人税率は、年800万円以下の所得金額について税率19%に軽減されていますが、2023年3月31日事業開始分までは、租税特別措置で更に15%まで軽減されている特例です。

このため中小企業者で黒字の場合は、必ずこの15%で計算するので、必ず適用することになり、適用額明細書には記載する必要があります。

適用額明細書の提出が必要な「少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例」

適用額明細書の提出が必要な「少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例」とは、取得価格が30万円未満の資産を取得し、事業で使い始めた事業年度に、その取得した減価償却資産の全額を減価償却することなく費用化できる制度です。

適用できるのは、青色申告法人であること、資本金または出資金の額が1億円以下であること、常時使用する従業員数が500人以下であることなどの条件を満たす中小企業に限定されますが、その他除外条件もありますので、詳しくは、税理士に相談しましょう。

適用額明細書を添付しない場合どうなるのか

法人税関係特別措置を適用しているにもかかわらず、適用額明細書を添付していなかった場合や、虚偽の内容を記載した適用額明細書を添付した場合は、法人税関係特別措置が適用されないと定められています。

ただし故意に適用額明細書の添付をしなかったり、虚偽の内容を記載したのではなければ、期限内・期限後にかかわらず、適用額明細書だけを所轄税務署に送付すれば、特例を適用することができます。

なお赤字法人であれば、「中小企業者等の法人税率の特例」などを適用する必要はなく、添付の必要はありません。

適用額明細書のよもやま話・豆知識

適用額明細書のよくある記載間違い

税制改正により租税特別措置法は入替があり、条項の他、区分番号も変動があったりするため、いつの事業年度分の適用額明細書なのかを誤ると記載漏れや誤記につながります。

よくある記載間違いは以下のようなものです。

(1)法人税申告書別表からの転記誤り

(2)区分番号の記載誤り

(3)中小(連結)法人等の軽減税率の適用額の記載誤り

(4)所得が0又は欠損の法人による税額控除適用等の記載誤り

記載漏れや誤記があった場合には、その租税特別措置法は適用されませんので、区分番号等は国税庁サイト等で確認しましょう。

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