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電子帳簿保存法

2022-02-032022-02-08

一言でいうと?

電子帳簿保存法(でんしちょうぼほぞんほう)とは、国税関係(法人税法や所得税法)の帳簿や書類を電磁的記録(電子データ)で保存することを認める法律です。

データ保存が可能になった電子帳簿保存法

1998年に成立した電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿類や証憑類の一部、または全てを電子データで保存することを認めた法律です。

会計帳簿や決算書といった書類は従来紙での保存が基本となっていました。

そのため、電子データ上の文書をわざわざ印刷し、保存することを義務付けている企業も珍しくありませんでした。

電子帳簿保存法は、このような煩雑化した手間の削減による業務の効率化、書類管理者の負担軽減、保存場所の確保や、印刷にかかるコスト削減などを目的として定められたものです。

電子帳簿保存法で認められる保存方法

国税関係帳簿書類を電子データで保存する場合、次の3通りの方法が認められています。

電磁的記録による保存

各種書類をPCで作成後、印刷せずサーバーやCD-ROMなどに保存します。

COM(電子計算機出力マイクロフィルム)による保存

COMとは、Computer Output Microfilmの略で、システムから出力される帳票データをマイクロフィルム化し、保存します。

スキャナによる保存

過去にはスキャナ保存には電子署名が必要で、コピー機などのスキャナ機能を使って取り込んだもののみがスキャナによる保存の対象として認められていました。

その後の法改正で緩和が行われ、現在は電子署名が不要、かつスマートフォン等で撮影したデータも保存可能となっています。

電子保存可能書類と不可書類

すべての書類で電子帳簿保存法が適用されるわけではありません。

国税関係帳簿書類の電子データ保存は、帳簿、決算関係書類、その他の証憑類の3種類に適用されます。

以下に内訳を記載します。

帳簿

現金出納帳、仕訳帳、経費帳、売掛帳、買掛帳、総勘定元帳、固定資産台帳、売上・仕入帳などが含まれます。

決算関係書類

貸借対照表、損益計算書、棚卸表、そのほか決算に関する書類等が含まれます。

その他の証憑類

契約書、請求書、見積書、注文書、レシート、領収書、契約の申込書、納品書、検収書等が含まれています。

上記の電子帳簿保存法が適用されている書類とは逆に電子保存が認められていない書類は、手書きにより作成した仕訳帳、総勘定元帳などの主要簿、手書きにより作成した請求書の写しやその補助簿、取引先から受け取った請求書原本等になります。

電子帳簿保存法を適用するには

電子帳簿保存法を適用するには、帳簿類の電子データ保存を開始したい日、または開始を予定している日の3ヵ月前までに、税務署へ「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」と添付書類(使用する会計システムの概要を示す書類など)を提出して申請をしなければなりません。

課税期間の途中期間で帳簿類の記帳を電子データに切替えることはみとめられていません。

課税期間の開始日に合わせて申請する必要があります。

また、申請が受理されるには、データが本物であることを確認できる「真実性の確保」、書類をはっきりと視認できる「可視性の確保」の二点に該当する要件を満たさなくてはなりません。

書類に対して適用を受けるための要件

・システム概要書、仕様書、操作説明書、事務処理マニュアルなどを備え付けること。

・保存場所に電子計算機、ディスプレイ、プリンター、プログラムおよびマニュアルが備え付けら、速やかに明瞭な状態で出力できること。

・取引年月日、勘定科目や、取引金額、帳簿や書類の種類に応じた主要な記録項目で検索が可能なこと。

・日付または金額の範囲指定により検索ができること

帳簿に対して適用を受けるための要件

帳簿に対して適用を受けるための要件は上記4点に加え以下も必要となります。

・録事項の訂正・削除が記録され、その事実を確認できること。

・通常の業務処理期間が経過した後の入力履歴を確認できる こと。

・電子化を行った帳簿の記録事項と、その帳簿に関連する他の帳簿でも記録事項の関連性を確認できること。

・2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件によって検索することが可能なこと。

電子帳簿保存法のよもやま話・豆知識

電子帳簿保存法の改正による重要性の変化

2021年度の改正(2022年、令和4年1月1日施行)では、テレワークの普及により改めて浮き彫りになっている「紙での業務の非効率」等を背景として、これまでになく抜本的な要件見直しが行われました。

請求書をPDFでメール添付して授受したり、インターネット通販等で物品や備品購入をするなど多くの事業者が行っている電子取引ですが、その取引情報を紙に出力して保存することが「認められなくなる」というような大きな改正内容が含まれていました。

ただし、電子取引の電子保存はあまりにも負担が大きいということで、やむを得ない理由がある場合、紙で出力したものを保存し、提示等することを要件に、2年間紙保存が認められることになりました。

電子帳簿保存法はこれまでペーパーレス化を推進する事業者が取り扱うものでしたが、今後はすべての事業者に関係する法律へと変化しています。

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