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貸借対照表

2023-04-272023-04-27

一言でいうと?

貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)とは、決算日時点などある時点における企業の財政状態を表す決算書(財務諸表)のひとつで、貸借対照表を用いて経営分析することで、経営の安定性や支払い能力を評価することができることから、税務署、株主、取引先、金融機関などに収支や資産状況の報告をするために主に用いられます。

貸借対照表とは

貸借対照表は、貸借対照表作成時点(基本的には各事業年度の末日)における企業の財政状態を表す財務諸表で、企業の保有資産と負債、純資産が左右の表形式で示されることから、別名バランスシート(略してBS)とも呼ばれます。

貸借対照表は、「損益計算書(PL)」、「キャッシュフロー計算書」と並ぶ3大財務諸表のひとつで、このうち、貸借対照表と損益計算書は、企業が決算時に作成しなければいけない書類で、キャッシュフロー計算書は上場企業にのみ作成が義務づけられています。

貸借対照表と損益計算書の違いとその関係

貸借対照表が「ある時点」での企業の財務状況を示しているのに対し、損益計算書は「一定期間」の企業の業績を示しています。

損益計算書の内容は「収益」「費用」「利益」の3つの要素から成り立ち、「収益」から「費用」を差し引くことで最終的な「利益」を計算します。

損益計算書で計算される1年間の利益「当期純利益」は、一定の割合で株主に分配されますが、残った利益は「当期末処分利益」と呼ばれ蓄積されていき、それが、貸借対照表の「利益剰余金(その他利益剰余金)」となり2つの財務諸表がつながることになります。

貸借対照表の構成

貸借対照表は、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」の3つで構成され、表の左側(借方)と右側(貸方)の2つの視点から財政状態を分析できます。

貸借対照表の左側には「資産」が記載され、会社が保有する資金と使い道を意味し、表の右側はに、その合計が「総資本」と呼ばれる「負債と純資産」が記載され、資金の調達方法を意味します。

〇資産の部
・流動資産
・固定資産
・繰延資産
〇負債の部
・流動負債
・固定負債

〇純資産の部

貸借対照表の貸借(左側の合計額と右側の合計額)は必ず一致します。

貸借対照表の「資産の部」

貸借対照表の左側の「資産の部」では、会社がどのような種類の資産をどれだけ持っているか、資産の保有状況がわかります。

貸借対照表の資産には、現金、預金、有価証券、建物・土地などのほか、目に見えない著作権などの無形の資産も含みます。

「資産の部」は、さらに「流動資産」「固定資産」「繰延資産」に分かれ、並び順としては、貸借対照表上においては、通常、流動性の高いものから順に配列されます。

貸借対照表の「資産の部」の「流動資産」とは

貸借対照表の「流動資産」は、貸借対照表日から1年以内に現金化されるもので、もとからある現金・預金のほか、株式などの有価証券・売掛金・短期貸付金・棚卸資産などがそれにあたります。

貸借対照表の「資産の部」の「固定資産」とは

貸借対照表の「固定資産」は、基本的にすぐにお金にするのが難しい資産で、土地・建物・機械・車・ソフトウェア・長期貸付金・投資有価証券などがあります。

貸借対照表の「資産の部」の「繰延資産」とは

貸借対照表の「資産の部」の「繰延資産」は、支出の効果が支出後1年以上に及ぶ資産のことで、会計上の繰延資産は創立費、開業費、株式交付費、社債発行費、開発費の5つに限定されており、代表的なものは開業費です。

開業費は会社設立から実際に会社を開業するまでにかかった費用で、広告宣伝費等など換金性のあるものは少ないですが、支出後長期間にわたって収益を生む可能性が高いため、貸借対照表では資産に計上し、数年間にわたって費用化することが許されています。

貸借対照表の「負債の部」

貸借対照表の右側(貸方)に位置する「負債の部」は、別名「他人資本」とも呼ばれ、銀行などから融資を受けた場合の借入金や、商品を仕入れた場合でまだ代金を支払っていない買掛金など、すなわちマイナスの資産で、将来返済する必要のあるお金を記載します。

貸借対照表の負債は返済期限の長さによって、「流動負債」と「固定負債」の2つに分けられます。

貸借対照表の「負債の部」の「流動負債」とは

貸借対照表の「負債の部」の「流動負債」とは、会社の決算から1年以内に返済する必要がある負債です。買掛金や支払手形、短期借入金、未払金などが該当します。

また、翌月支払う予定の給料などの未払い分も、貸借対照表の流動負債に含まれます。

貸借対照表の「負債の部」の「固定負債」とは

貸借対照表の「負債の部」の固定負債は、返済期日が1年以内に到来しない負債で、資金を調達するために発行した社債や、長期にわたる借入金などが該当します。

その他、退職給付引当金なども貸借対照表の「固定負債」に計上されます。

貸借対照表の「純資産の部」

貸借対照表の右側(貸方)に位置する「純資産の部」は、別名「自己資本」とも呼ばれ、株主が会社に対して出資した資本金などを記載します。

特に最初に出資された部分を資本金と言い、資本金を元手にして増やした利益部分が利益剰余金として表示されます。

評価・換算差額等(資産を時価評価した際の含み益)や新株予約権などもこの純資産に含まれます。

なお、負債の部に記載される項目は将来、支払いの必要があるものですが、純資産の部に記載される項目は、将来の返済義務はありません。

貸借対照表での分析

貸借対照表は、流動資産、固定資産+繰延資産、流動負債、固定負債、純資産の大きく5つのブロックに分けて把握すると、財政状態を把握しやすくなり、その内容をもとに「自己資本比率」、「流動比率」、「当座比率」、「固定比率」などをチェックできます。

また「流動資産>流動負債であれば、資金繰りがうまくいっている」など、貸借対照表を一目見ただけでわかることもあります。

貸借対照表での「自己資本比率」チェック

貸借対照表から、その会社が安定して健全な経営をしているかどうかを知るには、自己資本比率を見ることでわかります。

自己資本比率は、純資産を総資本で割った比率で計算することができます。

自己資本比率(%) = 自己資本(純資産) ÷ 総資本(負債 + 純資産) × 100

総資本の中に占める、返済の必要のない純資産の割合が大きいほど、返済の必要のない資金で会社が運営されていることを意味し、逆にこの割合が小さいと、借金が多い会社と考えられるので、利息と元本の返済が会社の負担となっていると考えることができます。

貸借対照表での「流動比率」チェック

貸借対照表の流動資産は1年以内に現金化できる資産を示し、流動負債は1年以内に支払う必要のある負債を指します。

そのため、流動負債に対してどの程度の流動資産があるのかを示す流動比率では、短期での返済が必要なお金に対する返済能力を示すことができます。

流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

流動比率が100%を下回っていれば、資金繰りが困難になる可能性があり、流動比率が100%を上回っていれば、当面の資金繰りの心配は少ないと考えることができます。

貸借対照表での「当座比率」チェック

貸借対照表の流動資産とその流動資産に含まれる当座資産との比率を表すのが当座比率です。

当座比率(%) = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

当座資産とは、現金や預金など、流動性が高く確実に活用できる資産を示すもののことで、流動比率よりも当座比率は、棚卸資産などを含めない比率を算出できるため、資金繰りの問題がないかどうかをより厳しく確認できます。

貸借対照表での「固定比率」チェック

固定比率とは、長期的に保有する予定の固定資産に対し、自己資本(純資産)の比率を示すものです。

固定比率(%) = 固定資産 ÷ 自己資本(純資産) × 100

固定資産は、貸借対照表の中の返済期限のない自己資本によって調達することが理想であるため、固定比率が低いほど、長期的安定性の高い企業ということができます。

固定比率が100%を下回れば、固定資産がすべて自己資金であることを意味し、一般的には長期的に見て安全な会社といえますが、業種によって大きく異なるため、同業種の比率を参考にするといいでしょう。

貸借対照表の個人事業主利用

個人事業主が青色申告をする場合は、貸借対照表と損益計算書とを確定申告書に添付する必要があります。

青色申告をすると、正規の簿記で適正な記帳を行うことを条件に、所得や税額の計算で種々の特典が受けられます。

青色申告でも簡易簿記により貸借対照表を添付しない方法では、青色申告特別控除額が最高10万円ですが、貸借対照表を添付した場合には最高65万円となります。

個人事業主の場合は、「資本金」ではなく「元入金」という資本金と利益剰余金を組み合わせたイメージの勘定科目を使って貸借対照表を作成します。

貸借対照表のよもやま話・豆知識

貸借対照表の数字が合わないときのチェック

貸借対照表を作成したあとに、左側(借方)と右側(貸方)の合計が一致しない場合は、以下のことを確認していくことで誤りを見つけやすくなります。

・「資産の部」「負債の部」「純資産の部」に属する勘定科目のそれぞれ配置が正しいかどうかを確認します。

・各勘定科目のそれぞれの金額を再確認する際、前期末と当期末の貸借対照表の同じ勘定科目を比較することも有効です。

・仕訳帳から転記する際に、間違うことがあるので、総勘定元帳や仕訳帳を使って原因を突き止めます。

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