税理士
2023-04-122023-04-12
一言でいうと?
税理士(ぜいりし)とは、税務に関するスペシャリストのことで、税理士は納税者の依頼を受けて、所得税や法人税等の税務に関して申告を代理したり、税務書類作成や税務相談に応じたり、会計帳簿の代行をしたりするのが主な職務です。
税理士とは
税理士とは、独立開業も可能な税金のプロフェッショナルで、資格を持つ者のみ許された独占業務として、税務代行・税務書類の作成・税務相談などを行いますが、税理士は、会計士とは異なり、監査業務は含まれず、主に中小企業や個人の税務をサポートします。
税金関係の法律は、所得税をはじめよく改正されるため、正確で迅速な税務処理を行う上で税理士の存在は不可欠です。また、経営の相談役としての役割も求められ、社会的な地位と収入が得られる職業です。
税理士の3つの独占業務
税理士は税理士にしかできない3つの独占業務を行うことができます。
1.税務代理業務
税に関する法令に基づいて、申告・申請の代理、税務調査の立会い、税務署の決定に不服のある場合の不服申立てや届出、その他について代理します。
2.税務相談
税金のことで困ったときや、わからないときは相談に応じます。
3.税務書類の作成
確定申告、相続税・贈与税の申告、その他税務署などに提出する書類を納税者に代わって作成します。
税理士の3つの独占業務以外のその他付随業務とは
税理士のその他付随業務は以下のようになります。
(会計業務)
税理士業務付随の財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務事務を行う。
会計参与制度の会計参与として、取締役と共に計算関係書類を作成・管理・開示し、経営状態の迅速な把握に努める。
(補佐人制度)
訴訟の際、訴訟代理人と共に出頭・陳述し、納税者の権利、利益の救済を図る。
(社会貢献)
「税週間」や「確定申告期間」に、無料で税務相談を行ったり、地方公共団体の外部監査人、裁判所の民事・家事調停委員等をして地域社会に貢献する。
税理士という職業の魅力
企業勤務の税理士の平均年収は700万円以上とも言われ、さらに税理士は独立開業が可能なため、努力次第でさらに高い年収を得られるケースもあります。
また税理士資格は、一度取得すれば生涯資格となるため、再就職もしやすい上、女性の結婚・産後の再就職にも不利にならず、自分らしい働き方を選ぶことができます。
50歳以上の税理士が多い中、個人事務所の後継者採用も積極的で、マイナンバー制度や法改正など税関係業務の増加もあり、売り手市場が続いています。
また税理士が2名以上で「税理士法人」を作ることができます。
税理士になるには
税理士になるには、まず国家試験である税理士試験に合格することが必要です。
そして税理士事務所などで「租税または会計に関する事務」の実務経験が2年以上あれば、日本税理士会連合会に登録して税理士として仕事をすることができるようになります。
税理士試験合格者以外にも、試験免除者 ・弁護士・公認会計士も税理士の登録をすることができます。
税理士試験について
税理士試験は、年1回例年8月実施で、試験科目は、会計学の科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目必修と、税法科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうちの3科目の選択制(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択)です。
税理士試験は科目合格制で、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよく合格科目は生涯有効です。
法律学・経済学の大学院で修士号を取得した場合には、一部試験科目の免除を申請することができます。
税理士試験の受験資格要件
税理士試験のうち、会計学科目の簿記論・財務諸表論は、誰でも受験できますが、税法科目の受験資格は、次のいずれかに該当する人になります。
1. 法学部、経済学部、商学部、経営学部などの大学又は短期大学卒業
2. 1.の学部以外でも社会科学に属する科目を履修し大学又は短期大学卒業
3. 大学3年生以上で社会科学に属する科目の必要単位履修
4. 専門学校修了者で社会科学に属する科目履修
5. 日商簿記検定1級合格者・全経簿記検定上級合格者
6. 税理士事務所などで会計関係の仕事を2年以上経験した人
税理士試験の合格率
税理士試験の近年の合格率は、比較的合格率が低い科目(相続税法や国税徴収法など)で、11~14%、合格率が高い科目(簿記論や財務諸表論や住民税など)で16~20%台あたりとなっており、
各科目の合格率は平均して約17%です。
令和3年度では、全国で27,299人受験して5科目合格した人は585人で、ほとんどの人が数年をかけて合格しています。
公認会計士試験の近年の合格率が、11%前後であることに比べると、合格率はそれよりはやや高いといえます。
税理士と公認会計士との違いとは
税理士は「税務のプロ」と言われる一方、公認会計士は「会計のプロ」と言われ、公認会計士の主な仕事はその独占業務の「監査
であり、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を第三者の目線で調査チェックし、財務諸表の信頼性を保証します。
公認会計士の監査は上場企業に義務付けられているため、公認会計士のクライアントは大企業が多くなります。
税理士は公認会計士と異なり、クライアントが個人から企業までと幅広いのが特徴で、クライアントに毎年の申告から相続対策まで、長期間寄り添ったサポートをすることが多いです。
税理士のよもやま話・豆知識
税理士試験の受験資格要件の緩和
令和4年税理士法改正により、令和5年4月1日以降に実施する税理士試験から、受験資格要件が大幅に緩和されました。
会計科目の「簿記論と財務諸表論
については、受験資格要件が撤廃されたため、高校生や大学1・2年生でも受験できるようになりました。
また税法科目では、今までは、「法律学または経済学」に属する科目を少なくとも1科目は履修していることが必須でしたが、「法律学または経済学」の要件が、「社会科学」へと拡充され、文学部や理工学部の大学生・卒業生の受験の可能性が広がりました。