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雑所得

2023-04-072023-04-07

一言でいうと?

雑所得(ざっしょとく)とは、税法上10種に分類されている所得の中のひとつで、雑所得は、他の9種類の所得に該当しない所得を指します。

雑所得とは

雑所得とは、10種に分類されている所得のうち、他の9種(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得)のいずれにも当たらない所得をいいます。

つまり、雑所得は所得区分において確固たる意義を持っておらず、他の所得区分のどれにも該当しない所得の受け皿として説明されます。

雑所得の種類と具体例

雑所得には、「公的年金等の雑所得」「業務に係る雑所得」「その他の雑所得」の3種類があります。

【公的年金等の雑所得】

・国民年金法、厚生年金保険法、共済組合法等の年金

・過去に勤務していた会社から支払われる退職年金

・確定給付企業年金法に基づき支給される年金

【業務に係る雑所得】

・ネットショップ収入

・ネット広告やアフィリエイト収入

・原稿料・印税・講演料

・動産の継続的売買

【その他の雑所得】

・個人年金保険

・海外FXでの収入、

・暗号資産・仮想通貨(換金時)、

・動産の貸し付け

雑所得の計算方法

雑所得を算出する方法は、「公的年金等の雑所得」と「業務に係る雑所得・その他の雑所得」で計算方法が異なります。

【公的年金等の雑所得の計算方法】

公的年金等の雑所得 = 収入金額 – 公的年金等控除額

【業務に係る雑所得・その他の雑所得の計算方法】

業務に係る雑所得・その他の雑所得 = 総収入金額 – 必要経費

業務に係る雑所得・その他の雑所得の必要経費とは

業務に係る雑所得・その他の雑所得の計算の際に認められる必要経費とは、事業所得や不動産所得などの場合と同じく、その総収入金額を得るために直接要した費用の額

その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額となります。

例えば、ガソリン代を必要経費とする場合は、業務に使った距離、仕様日数などを継続して計測しており、按分計算をしたときに、はじめて必要経費としての計上が可能となります。

個人年金の場合であれば、過去に支払った年金支払額をもとに算定された「当期控除額」が、「経費」となります。

雑所得の確定申告

雑所得は、年末調整を受けている会社員なら確定申告は不要ですが、雑所得を含む給与以外の収入が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。

給与所得以外の所得が20万円以下なので、雑所得は10万円でも、一時所得など他の種類の所得があって、合わせて20万円を超えた場合は確定申告が必要になります。

最終的に納めるべき税額は、雑所得を給与所得など他の所得と合算し「総所得金額」を算出したうえで所得控除分を差し引き、金額に応じた税率を掛けて計算します。

公的年金の雑所得の源泉徴収と確定申告

公的年金等の雑所得の支払を受けるときは、原則として収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を差し引いた額に5.105パーセントを乗じた金額が源泉徴収されます。

雑所得である公的年金等の受給者で、公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、確定申告の必要はありません。

ただし還付金がある場合は、確定申告をすることで受け取ることができます。

公的年金の雑所得の課税金額と確定申告について

公的年金等の雑所得の課税関係は、国税庁のWebサイトで確認できる「公的年金等に係る雑所得の速算表」にもとづいて算出され、65歳以上か未満かと収入金額の額、公的年金などの雑所得以外の所得との合計額によって変わります。

令和5年現在では、公的年金等以外の合計所得が1,000万円以下の場合、65歳未満の人は公的年金等の収入額が60万円以下の場合、65歳以上の人は公的年金等の収入額が110万円以下の場合であれば、公的年金等に係る雑所得が生じないため確定申告は不要です。

雑所得のみの個人事業主やフリーランスの確定申告

会社員の場合は、給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要ですが、一方で、年末調整のない個人事業主やフリーランスの場合は、雑所得が20万円以下でも確定申告をする必要があります。

また、給与取得者で雑所得が20万円以下であっても、医療費控除や寄附金控除を受けたい場合は確定申告をすることで、控除を受けられます。

雑所得と事業所得の違い

ビジネス的収入は、一般的に「事業所得」か「雑所得」に該当しますが、事業というほど本格的でないものは「雑所得」と考えます。

国税庁の見解は「帳簿書類を保存していれば概ね事業所得とする」ですが、赤字の連続や売上が少ない副業は、帳簿があっても雑所得となる可能性があります。

事業所得と雑所得の税法上の違いは以下のようになります。

【雑所得】

帳簿づけの義務なし

青色申告の特典なし

赤字を他の所得から差し引けない

【事業所得】

帳簿づけの義務あり

青色申告の特典あり

赤字を他の所得から差し引ける

雑所得と一時所得の違い

一時所得とは、労働以外で偶発的に得た所得のことで、懸賞の賞金や商品、ギャンブルの払戻金、保険の一時金や満期返戻金、拾得物の礼金などが該当しますが、雑所得は一時所得に該当しない所得で、給与も含まれます。

保険料の負担者と保険金の受取人が同じ場合に、保険金を一時金で受け取った場合は一時所得となり、満期保険金を年金で受け取った場合は雑所得となります。

また一時所得は、50万円の特別控除を受けることができ、50万円を超えた分の半額を所得税などの計算に含めるなど、課税金額の計算も雑所得とは異なります。

雑所得のよもやま話・豆知識

雑所得となるフリマやオークションでの収入

フリマアプリやインターネットオークションを使って営利目的でものを販売し、収入を得た場合は、それが本業でなければ雑所得になることが多くなります。

ただし、オークションやフリマで不用品の売却をした場合は、「生活用動産」扱いとなり、雑所得に該当しないので、所得が20万円を超えても確定申告は必要ありません。

貴金属や宝石、美術品などで、1点の価格が30万円を超えると課税対象になりますので、注意が必要です。

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