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路線価式評価方法・路線価方式

2023-06-082023-06-08

一言でいうと?

路線価式評価方法・路線価方式(ろせんかしきひょうかほうほう・ろせんかほうしき)とは、「路線価」と呼ばれる道路(路線)に面する宅地1平方メートルあたりの評価額を設定して参照することにより、その土地全体の評価額を決定する方式のことで、路線価式評価方法・路線価方式の「路線価」には、相続税や贈与税の基準となる宅地の評価額を算出する「相続税路線価」、また、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税の算出の基となる「固定資産税路線価」があります。

路線価式評価方法・路線価方式とは

路線価式評価方法・路線価方式とは、土地の時価を簡単に計算できるように開発された算出方法で、「路線価」という1㎡辺りの土地の価格に、土地の面積を掛けて、評価額を計算する方法です。

路線価には、国税庁が公表している路線価を「相続税路線価」、市町村(東京都は都)が固定資産税の算出に使用する「固定資産税路線価」があります。

単に「路線価」という場合は「相続税路線価」のことを指しますので、以下の内容も「相続税路線価」の計算とします。

路線価の付いていない土地については倍率方式が適用されます。

路線価式評価方法・路線価方式の算出方法

路線価式評価方法・路線価方式で評価できるのは、路線価が設定されている土地で、かつ道路に面している土地となり、土地の計算で利用価値を表す要素となるのが「路線価」と「補正率」です。

相続税法では、路線価式評価方法・路線価方式の計算は、亡くなった年分の路線価を用いることとされていますが、実際にその年分の路線価が分かるのは毎年7月に1月1日時点の価格の公表の時となるため、それより前に自宅の持ち主が亡くなった場合は7月まで待つことになります。

路線価式評価方法・路線価方式の路線価の見方

路線価式評価方法・路線価方式で使用する「相続税路線価」は、国税庁のホームページで、土地の住所を検索して確認できます。

路線価式評価方法・路線価方式で計算する目的の土地が接する道路に「500D」と記載されていたら、相続税路線価は「50万円/平米」ということです。

路線価図で確認する路線価は、千円単位で表示されており、矢印(←→)が路線価の適用範囲を示しています。

末尾のアルファベットA~Gは借地権割合と呼ばれ、借地権や底地(借地権の付着した土地)等の相続税評価額を用いる場合に使用します。

路線価式評価方法・路線価方式の基本計算

路線価式評価方法・路線価方式の基本の計算は、土地の一辺が道路と接している場合、

土地の評価額 = (路線価 × 奥行価格補正率) × 宅地面積

となります。

路線価式評価方法・路線価方式の「奥行価格補正率」とは

路線価式評価方法・路線価方式で土地の価値を算出する場合は、土地の奥行きの長さを考慮する必要がありそれが「奥行価格補正率」です。

奥行きが特段に長い、短いなどの場合は土地の活用が難しいということになり、評価が低くなるため、路線価に乗じる「奥行価格補正率」が1以下の0.95など低くなります。

奥行価格補正率は国税庁のホームページで確認することができますが、奥行価格補正率が1.00ならば補正なしとなります。

路線価式評価方法・路線価方式の奥行価格補正と他の補正との併用

土地の形状等によって、路線価の評価額を補正するための「画地調整率」には、奥行価格補正率以外にも様々な種類があり、これらの補正率は、該当するものであれば併用することが可能です。

奥行価格補正 標準的な宅地に比べて奥行距離が長い・短い

奥行長大補正 間口距離に対して奥行距離が2倍以上長い

間口狭小補正 用途に対して間口が狭い

不整形地補正 宅地の形状がいびつである

がけ地補正 宅地に斜面やがけがある

路線価式評価方法・路線価方式の補正の併用計算例

路線価式評価方法・路線価方式の補正の併用計算で奥行価格補正、奥行長大補正、間口狭小補正を併用した評価の例です。

5,000万円の土地で、奥行価格補正(0.97)・奥行長大補正(0.9)・間口狭小補正(0.94)ありの場合、計算は5,000万円×0.97×0.9×0.94=4,103.1万円となります。

なお各補正率は国税庁のホームページで調べることができます。

路線価式評価方法・路線価方式で複数辺が道路に接する場合

路線価式評価方法・路線価方式の計算で、土地が複数の道路に接している場合は、「正面路線価」「側方路線価」「裏面路線価」を用いて計算します。

正面路線は、宅地の接する路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額の高い方の路線としますが、同額の場合は路線に接する距離の長い方を正面路線とします。

奥行価格補正率、側方路線影響加算率、二方路線影響加算率は、路線価図に示された地区に応じた率が定められており、地区の異なる2以上の路線に接する宅地を評価する場合には、正面路線の地区に応じた率を適用し評価します。

路線価式評価方法・路線価方式で複数辺が道路に接する計算

路線価式評価方法・路線価方式の複数辺が道路に接する場合の計算は以下の通りです。

(正面路線価) × 奥行価格補正率 = イ

(側方路線価) × 奥行価格補正率 × 側方路線影響加算率 = ロ

(裏面路線価) × 奥行価格補正率 × 二方路線影響加算率 = ハ

イ + ロ + ハ = ニ

ニ × 面積

路線価式評価方法・路線価方式の角地・準角地の場合

路線価式評価方法・路線価方式で正面と側方に道路がある土地の場合は、角地であるか準角地であるかによって加算率が変わり、角地の方が加算率が高くなります。

角地とは、2本の道路が交差またはT字路のように接続している場所で、一方、準角地とは、1本の折れ曲がったL字型の道路の内側にある土地のことを指します。

また加算率は、国税庁の「二方路線影響加算率表」で確認できます。

路線価式評価方法・路線価方式と倍率方式

路線価式評価方法・路線価方式以外に評価額を求める方式として「倍率方式」がありますが、倍率方式は、路線価が定められていないエリア(倍率地域)すなわち郊外など市街化されていないエリアの評価額を求める際に用いられる方式です。

倍率方式での評価額の計算式は、(土地の固定資産税評価額) × (国税庁が場所ごとに定める評価倍率)です。

固定資産税評価額は、3年に一度、各自治体で有する固定資産評価基準を基に決定されます。

また評価倍率とは、国税庁の「路線価図・評価倍率表」に記載されている評価倍率です。

マンションの路線価式評価方法・路線価方式

マンションの宅地の路線価式評価方法・路線価方式の計算は、自宅を区分所有しているという点から、その区分所有部分に対応した「敷地権」を評価することになり、計算式は次の通りです。

敷地権 = マンションの敷地全体の評価額×敷地権の割合

敷地権の割合は、専有部分の建物の登記事項証明書から確認できます。

またマンションの敷地全体の評価方法は通常の土地の路線価式評価方法・路線価方式と同じです。

借地権割合の路線価式評価方法・路線価方式

路線価式評価方法・路線価方式の計算の基の「路線価」の末尾には、アルファベットが振られており、このアルファベットは「借地権割合」を示します。

借地権とは、借主がその土地を使用できる権利を指し、借地権割合とは、土地の価格の何割かが借地権に相当するのか数字で表したものです。

路線価が、「100D」の場合、Dは借地権割合を意味し60%となります(借地権割合は、路線価図の真ん中上部に載っています)。

100平米の土地の場合、借地権価格は(10万円 × 100平米) × 60% = 600万円となります。

路線価式評価方法・路線価方式の「特定路線価」

路線価式評価方法・路線価方式の計算で、路線価地域内の路線価の設定のない道路のみに接している宅地を評価する場合は、納税義務者からの申し出で「特定路線価」を設定することができます。

「特定路線価」の設定申請方法は、「特定路線価設定申出書」「別紙 特定路線価により評価する土地等及び特定路線価を設定する道路の所在地、状況等の明細書」に記載し、住宅地図・地形図・現況写真の書類と共に所轄税務署に提出して申請します。

特定者の専用道路の場合には特定路線価は設定できず宅地の一部として評価することになります。

路線価式評価方法・路線価方式の「固定資産税路線価」

もう一つの路線価式評価方法・路線価方式の「固定資産税路線価」とは、土地の固定資産税評価額を求める為の土地単価で、固定資産税、不動産取得税等の算出根拠となります。

固定資産税評価額も、対象地前の路線に振られる平米単価で算出しますが、路線価は1円単位です。

土地の固定資産税評価額の求め方は、(固定資産税路線価)×(土地面積)ですが、奥行価格補正等の修正の為実際の価額は異なることが多いです。

固定資産税路線価は市町村のサイトで閲覧可能ですが、固定資産税の納税通知書で固定資産税評価額が分かります。

路線価式評価方法・路線価方式のよもやま話・豆知識

路線価式評価方法・路線価方式と「一物四価」

路線価式評価方法・路線価方式とともに使われる「一物四価」と言う言葉は、一つの不動産に「実勢価格」「公示地価」「相続税評価額」「固定資産税評価額」の4つの価格があると言う意味です。

「相続税路線価」は、税金計算の基となる「公示価格」の80%程度、「固定資産税路線価」は「公示価格」の70%程度のバランスです。

一方「実勢価格」と「公示価格」は都市部では、「実勢価格」が「公示価格」の1.5~2倍程度となることもあるのに対して、地方では「実勢価格」が「公示価格」の0.9~1.0倍程度となっています。

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