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流通税

2023-03-102023-03-10

一言でいうと?

流通税(りゅうつうぜい)とは、元々は手数料から発展した税で、税の性格としては、財産や権利などの取得と移転に対して課せられる税に分類されており、また流通税は、所得税、資産税(相続税、固定資産税)、消費税に並ぶ税として扱われています。

流通税とは

流通税とは、財やサービスの取引や流通に対して課される税をいい、多くは手数料から発展した税です。

流通税は、利益とは無関係に課税するものなので、所得税の譲渡所得などは流通税には該当しません。

流通税の種類は、有価証券取引税,取引所税のように財の移転に対して直接課税するものと,印紙税や登録免許税のように財の移転に伴う文書の作成や登記など、間接的に課税するものとの2つがありましたが、有価証券取引税,取引所税など直接課税の多くは、1999年に廃止されました。

流通税の種類

日本の税制度では、以下の税が流通税に該当します。

・不動産取得税

・登録免許税(財産権その他の権利や職業の登記,登録,変更)

・印紙税(財産権の取得や喪失,契約の締結などの特定の証書や帳簿に課される税)

・とん税(外国貿易船の入港に課せられる国税)

・特別とん税(外国貿易船の入港に課せられる地方税)

・自動車重量税

・軽油引取税

また廃止された流通税には以下のものがあります。

木材引取税(1989年廃止)

取引所税、有価証券取引税(1999年廃止)

自動車取得税(2019年廃止)

流通税の代表格の不動産流通税

不動産流通税とは、上記流通税の中の、不動産取得税と登録免許税のことをいいます。

不動産取得税は、売買・贈与で不動産を取得したとき、また新築・増築したときに都道府県が課税する地方税です。

また登録免許税は、不動産(土地や家屋など)を取得して所有権を登記する際に必要な税金です。

不動産流通税の不動産取得税

不動産流通税の不動産取得税とは、不動産の売買・新築・増改築・贈与・交換などが課税対象として発生する税金ですが、不動産の相続の場合は、非課税となります。

不動産取得税の課税価格は、固定資産課税台帳に登録された固定資産の評価額で、税率は、標準税率で原則4%となります。

土地・建物の税額 = 固定資産税評価額 × 4%

※ただし、令和6年3月31日まで特例があり、標準税率が3%に軽減されます。

不動産流通税の不動産取得税に係る住宅取得の特例措置

不動産取得税に係る住宅取得の特例措置は以下のようになります。

〇課税標準の特例措置

住宅を新築した場合、課税標準から1,200万円が控除されます。

中古住宅取得の場合、築年次によって控除額が変わります。

以下3つは令和6年3月31日の適用期限があります。

〇税率の特例措置

住宅を取得した場合の不動産取得税の税率がの本則4%が3%に軽減されます。

〇認定長期優良住宅の特例措置

課税標準から1,300万円が控除されます。

〇買取再販で扱われる住宅の特例措置

登録免許税が軽減されます。

不動産流通税の不動産取得税に係る住宅用地取得の特例措置

不動産取得税に係る住宅用地取得の特例措置は以下の通りです。

〇税率の特例措置

住宅用地を取得した場合の不動産取得税の税率が3%に軽減(本則:4%)されます。(適用期限:令和6年3月31日)

〇宅地の課税標準が1/2となる特例

軽減額は、以下に示したうち高い方が適用されます。

・(土地1平米あたりの固定資産額 × 1/2)×(住宅の課税床面積 × 2) × 3%

・4万5千円

※上限200平米

(適用期限:令和6年3月31日)

住宅(建物)取得時の不動産取得税の軽減特例措置の条件

住宅取得時の不動産取得税の軽減措置の条件は以下の通りです。

●新築・中古住宅(建物)共通の条件

・居住用その他も含め住宅全般に適用すること(マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンション・住宅用など)

・課税床面積が50平米以上(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40平米以上)240平米以下

●中古住宅(建物)の条件

耐震基準要件のうち「1982年1月1日以降に新築されたもの」または「1981年12月31日以前に新築された住宅のうち新耐震基準に適合していることが認められたもの(取得前2年以内に調査・証明が終了しているものに限る)」のいずれかに当てはまること

住宅用地(土地)取得時の不動産取得税の軽減特例措置の条件

住宅用地取得時の不動産取得税の軽減措置の条件は以下の通りです。

(新築の場合)

・取得から3年以内に建物を新築すること(土地先行取得の場合)

・土地を借りるなどして住宅を新築した人が新築1年以内にその土地を取得すること(建物建築先行の場合)

(中古の場合)

・取得から1年以内にその土地上の建物を取得すること(土地先行取得の場合)

・土地を借りるなどしてその土地上の建物を取得した人が1年以内にその土地を取得すること(建物建築先行の場合)

新築・中古の建物のいずれも、土地の所有者と建物の所有者が同じでどちらの条件も満たさなければならないという点では同じです。

不動産流通税の登録免許税

住宅を購入するときには、所有権を法務局(登記所)にある登記簿に土地や建物の所有権を記録して公示しますが、流通税の登録免許税とは、この登記手続きの際に国に納める税金のことです。

税額は土地や建物の固定資産税評価額に税率をかけて計算しますが、固定資産税評価額がまだ付けられていない新築の場合には、法務局で認定した課税標準価格に税率をかけ流通税の登録免許税を算出します。

土地や中古住宅は以前の持ち主から買主に所有権を移転する登記になり、建物を新築する場合は新たに所有権を設定した登記簿を作成します。

不動産流通税の登録免許税の種類

不動産流通税の登録免許税には以下のような種類と税率があります。

土地の所有権の移転登記

内容課税標準税率(%)
売買不動産の価額2.0
相続、法人の合併 または共有物の分割不動産の価額0.4
その他 (贈与・交換・収用・競売等)不動産の価額2.0

           

建物の登記

内容課税標準税率(%)
所有権の保存不動産の価額0.4
売買または競売による所有権の移転不動産の価額2.0
相続または法人の合併による所有権の移転不動産の価額0.4
その他の所有権の移転 (贈与・交換・収用等)不動産の価額2.0

※個人の住宅用家屋取得については「住宅用家屋の軽減税率」が当てはまる場合があります。

流通税の問題点と国際比較

流通税の概念はドイツで交通税Verkehrssteuerとして発達したものであり、我が国でも一般化しましたが、イギリスやアメリカでは流通税はあまり普及していません。

また現在においては、ドイツよりも日本の方が、流通税の種類も多くなっています。

流通税は、課税根拠が不明確、不動産の流通を妨げる存在、土地の流動化・有効利用の阻害要因、という声もありますが、毎年安定した税収源ともなっています。

流通税のよもやま話・豆知識

流通税の算出に必要な固定資産税評価額

不動産流通税の算出に必要な固定資産税評価額は、市区町村役場で発行される固定資産評価証明書により確認することができますが、家屋の取得金額とは違いますので注意しましょう。

以下、地価に関する用語の違いをまとめた表です。


公示地価基準地価固定資産税評価額相続税評価額
活用できること土地、マンションなど不動産取引の目安公示地価と情報を補い合う関係固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税などの算出相続税や贈与税などの算出
公表する団体国土交通省各都道府県各市区町村国税庁

〇〇

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