あなたに寄り添う税理士 税務調査対策ドットコム 24時間受付中 税務調査対策の依頼はこちらから

みなし贈与・みなし贈与財産

2023-05-312023-05-31

一言でいうと?

みなし贈与・みなし贈与財産(みなしぞうよ・みなしぞうよざいさん)とは、本来の贈与ではない形で財産などの受け渡しをすること、またはその財産をいい、相続税法において、法律的には贈与により取得したとはいえないが、財産を取得した事実や経済的な利益を受けた事実によって、実質的に贈与と同様の経済効果が生ずる場合には、その取得した財産を贈与により取得したものとみなし、みなし贈与・みなし贈与財産として贈与税の課税対象となります。

みなし贈与・みなし贈与財産とは

みなし贈与・みなし贈与財産とは、金品などの財産を譲渡した側と受け取った側との双方に贈与をしたという明確な意識・意図がない、もしくは希薄である行為について、贈与と判断されることとその財産をいいます。

通常、贈与とは財産を渡す側と受け取る側が同意をした上で無償で財産を渡すことをいいますが、当人同士は贈与をしたという通常の意識も意図もない場合でも、税務署が贈与と判断した場合には、みなし贈与・みなし贈与財産として贈与税が課税されます。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断されるケース

税務署が行うみなし贈与・みなし贈与財産か否かの判断には明確な基準はありませんが、目安として財産を受け取る側に経済的利益が発生しているかどうか、または過去の裁判の判決などが基準となることがあり、以下のようなケースがあります。

・不動産や土地の譲渡

・株式の譲渡

・低額譲渡

・預金の移動

・生命保険の名義変更

・借金(お金の貸し借り)

・債務免除

・離婚の財産分与

・納税義務の肩代わり

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される不動産や土地の譲渡

不動産や土地を「時価の80%未満」で譲渡した場合には、みなし贈与・みなし贈与財産と判断される判断が現在基準となっています。

また、親が建てた家を、親名義にせず子ども名義にすることもみなし贈与・みなし贈与財産と判断されますが、子どもが家を建てたり購入するために親がお金を出してあげる行為は、一定金額まで贈与税がかからないようになっています。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される株式の譲渡

株式の譲渡を行う場合、通常の株価に比べて著しく安く譲る行為は、みなし贈与・みなし贈与財産と判断されます。

証券取引所を介して第三者へ売却する場合は、市場価額で譲渡されますが、個人的に譲渡する場合は価格を自由に決められるため、自分の所有している株式を子どもに安く譲るようなケースでみなし贈与・みなし贈与財産とされる場合があり得ます。

株式の譲渡の場合、贈与税がかかるかどうかも「時価の80%未満」が判定基準として使われていることが多いようです。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される低額譲渡

低額譲渡とは、通常の相場(時価)よりも著しく低い金額で譲渡することをいいます。

不動産だけでなく、美術品などの動産を著しく安い金額で譲渡する場合も、みなし贈与・みなし贈与財産と判断される可能性があります。

上記不動産や株の場合、「時価の80%未満」が一応の判断基準となっていますが、それ以外は法律等で定められた基準はなく、個々のケースごとに判断されることが多いようです。

また借金の返済のために、安く財産を譲ってあげるというような場合は、例外として非課税となるケースもあります。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される預金の移動

配偶者や子供に一時的に金銭を預けたりする「預金の移動」もみなし贈与・みなし贈与財産と判断されてしまう可能性があります。

介護などで、自分の財産を第三者に管理してもらう場合にも、贈与と見た目が変わらなくなってしまうので、管理の事実を証明するためには、その事実を書面等で残すことが必要となります。

その他、家族などに預けているだけの場合は、その事実を証明するようにして、一定期間経過した後には返金してもらうことで、みなし贈与・みなし贈与財産の対象とされることを防ぎましょう。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される生命保険の名義変更

生命保険の契約者を配偶者や子に変更すると、みなし贈与・みなし贈与財産と判断される場合があり、保険金の受け取り時に課税されます。

生命保険は、解約や満期を迎えると返戻金や保険金が受け取れますので、生命保険の名義変更を行うと利益が移転したと考えられます。

贈与税課税対象の判断は、誰が保険料を払って誰が保険金を受け取るのかで行われますので、実質的な内容やケースによって、課税基準やみなし贈与・みなし贈与財産となるかどうかの判断が異なって来る場合がありますので、詳しくは税理士さんに相談しましょう。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される借金(お金の貸し借り)

例えば、身内や友人への援助とはいえ、ある程度まとまった額を無利息、または利息の利率があまりにも低い場合は、みなし贈与・みなし贈与財産と判断されることがあります。

ただし、高額な貸し借りではない場合、利息を取ってもかなり低額になるような場合は、非課税になるのが実務上の判断になっているようです。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される債務免除

親が子に貸したお金の返済を免除した場合や軽減した場合も後に、みなし贈与・みなし贈与財産とみなされる可能性があります。

また親が子の借金を代わりに支払った場合にも、肩代わりしたことで借金がなくなり子が経済的利益を得たと判断され、みなし贈与・みなし贈与財産と判断される場合があります。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される離婚の財産分与

離婚により財産を分ける財産分与の場合、通常贈与税はかかりませんが、多すぎる財産を得た場合や、どちらか一方に偏り過ぎた分け方で、これは贈与税や相続税を逃れるために財産分与をしたとみなされた場合には、みなし贈与・みなし贈与財産となる可能性があります。

多すぎる財産がどのくらいかという明確な基準はなく、個々のケースに応じてみなし贈与・みなし贈与財産となるか判断されます。

みなし贈与・みなし贈与財産と判断される納税義務の肩代わり

本人以外の方の納税を代わりに行った場合、その金額はみなし贈与・みなし贈与財産と判断されます。

本来ご本人が支払うべき町内会費など公共的な目的の支払いも債務になります。

代わりに支払ってもらうことで債務を免除される利益を得たこととなり、みなし贈与・みなし贈与財産と認められます。

みなし贈与・みなし贈与財産となることを避ける方法

みなし贈与・みなし贈与財産となることを避ける方法としては、非課税枠の利用や控除の利用があります。

代表的なものは年間110万円までの贈与が非課税になる基礎控除がありますが、贈与者が亡くなった場合には、生前贈与となり遡って相続税がかかる場合があります。

その他の控除は以下のようなものがあります。

・相続時精算課税の特例

・住宅取得資金贈与の特例

・夫婦間贈与の特例

・教育資金贈与の特例

・結婚子育て資金贈与の特例

・障害者への贈与の特例

みなし贈与財産となる例のよもやま話・豆知識

うっかりがみなし贈与・みなし贈与財産となる例

うっかりや甘えが、みなし贈与・みなし贈与財産となってしまう例としては、親から住宅購入で控除額以上の1800万円を借り、返済の意図があっても、催促されないことをいいことに、返済を怠ったり忘れたりなど返済計画があいまいな場合、民法上の贈与の範疇には入りませんが、みなし贈与・みなし贈与財産とされ課税対象となる可能性があります。

事前に借入契約書などを交わしていても、無理のない返済計画と認められない場合や、その通りに返済がなされていない場合には、みなし贈与・みなし贈与財産とされる場合があります。

この記事をSNSでシェア!