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基準期間

2023-03-242023-03-24

一言でいうと?

基準期間(きじゅんきかん)とは、当該の消費税の課税期間において、消費税の納税義務が免除されるかどうか、簡易課税制度を適用できるかどうかを判断する基準となる期間をいい、基準期間は、原則として、個人事業者については当該年の前々年、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいいます。

基準期間とは

消費税は、期首の段階で課税事業者なのか免税事業者なのかを認識しておく必要がありますが、基準期間とは、その消費税の納税義務の判定の基準となる期間を指し、原則として個人事業者であれば、当該の課税期間の前々年、法人であれば前々事業年度を指します。

基準期間に対して、課税期間とは、消費税の確定申告の対象となる期間で、通常、個人事業であれば暦年、法人であれば事業年度となります。

個人事業の暦年は、1月1日~12月31日ですが、法人の事業年度は、例えば4月1日~3月31日など自由に決めることができます。

基準期間による納税義務の判定

消費税において免税業者となるか、課税業者となるかの判定は、その課税期間の基準期間と特定期間における課税売上高によります。

基準期間と特定期間の課税売上高が、1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除され免税業者となります。

また免税業者になるためには、資本金が1,000万円未満である必要がありますが、それは会社設立後2期目の期首時点で判定されますので、増資を計画的に行う必要があります。

基準期間と特定期間

免税業者の要件は、基準期間に加え平成23年度税制改正で、特定期間の条件が追加されました。

特定期間は、個人事業主は前年の1月1日から6月30日、法人は前事業年度開始日から6カ月間と規定され、免税業者となるには、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えていないことも満たす必要があります。

ただし、特定期間の判定は、特定期間中に支払った給与等の金額により判定することもでき、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えても、給与等支払額が1,000万円を超えなければ免税事業者と判定されます。

基準期間における課税売上高とは

基準期間における課税売上高とは、課税取引の売上金額と輸出取引などの免税売上金額の合計金額から、売上返品や売上値引き、売上割戻しなどの合計額を差し引いた残額をいい、課税取引の売上金額および売上返品等の金額の合計額には、消費税額と地方消費税額は含みません。

基準期間の算定が1年に満たない場合

法人は決算期を変更することができますが、決算期を変更したこと等により、前々事業年度が1年に満たないような場合には、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から、同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間を基準期間といいます。

基準期間の算定が1年に満たない場合の例

法人が、2019年9月決算、12月決算、2020年以降3月決算と決算期を変えた場合、当期が2022年3月期ならば、前々事業年度は2020.1.1~3.31となります。

この場合の基準期間は、当期の開始日2021.4.1の2年前の日2019.4.2の前日から1年を経過する日2019.4.1~2020.3.31の間に開始した事業年度を合わせた期間となり、2019年12月期2019.10.1~2019.12.31、2020年3月期2020.1.1~2020.3.31の合計6か月が基準期間となります。

基準期間の算定が1年に満たない場合の課税売上高の計算

上記のように基準期間の算定が1年に満たない場合でも課税売上高は、一年分に換算して計算します。

(計算式)

課税売上高=[課税資産の譲渡等の対価の額(税抜き) − 売上に係る対価の返還等の金額(税抜き)] ÷ その基準期間の月数 × 12

上記の例の場合、基準期間の返還分などを差し引いた税抜きの課税資産の譲渡等の対価が600万円だとすると、額課税売上高は、600万円 ÷ 6ヶ月 × 12ヶ月 = 1,200万円となります。

基準期間のない新設法人の特例

新たに設立された法人については、設立1期目および2期目の基準期間はありませんので、設立1期目および2期目は原則として納税義務が免除されますが、資本金が1,000万円を超える場合は課税事業者となります。

なお、設立3期目以後の課税期間における納税義務の有無の判定については、原則どおり、基準期間と特定期間における課税売上高で行います。

基準期間のよもやま話・豆知識

基準期間の課税売上高により選択できる簡易課税制度

基準期間の課税売上高が5,000万円以下の中小事業者の場合、簡易課税制度を選択できます。

簡易課税制度は、受け取った消費税額に一定の割合(みなし仕入率)を乗じて計算するので、仕入税額控除の計算が簡素化し、事務負担が軽減され、また節税できる可能性もあります。

簡易課税制度では、納品書や請求書等がインボイスであってもなくても納税額計算には影響なく、インボイスの保存も仕入税額控除の要件とはならず、従来の計算方式で納税できますが、場合によってはデメリットも生じますので詳しくは税理士に相談しましょう。

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