一時所得
2023-01-122023-01-12
一言でいうと?
一時所得(いちじしょとく)とは、税法上では、個人の所得税の対象になる所得の一つで、継続的でない一時的な所得であること、労働により得た所得ではないこと、資産の売却により得た所得ではないこと、営利を目的とした継続的な行為から得た所得ではないことなどに当てはまる一時的な所得をいい、一時所得がその特別控除額を超える場合は、課税額の対象となります。
一時所得とは
一時所得とは、個人の所得税の対象になる所得の一つで、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価や資産の譲渡による対価ではない一時的な所得をいいます。
誰しも意図せずに一時所得を得る可能性がありますが、担税力(税を負担できる力)を考慮して、特別控除額が差し引けるなど他の所得とは異なる課税方法となります。
一時所得の具体例
実際に一時所得となる具体例は以下のようなものがあります。
・生命保険や損害保険などの一時金や満期返戻金
・法人からの贈与金品
・落とし物の報労金
・ふるさと納税の返礼品
・賞金と賞品(なお宝くじは購入時に税金を支払っているため、当選金は非課税所得となります。)
・公営ギャンブルの払戻金(年間でかかった払い戻し金の受取額から年間でかかった投票額を差し引き「開催日や開催場」「受取額」「投票額」といった項目の記載が必要です。)
一時所得となる保険金の例
保険料の負担者と保険金受取人が同じで、保険金を一時金で受け取った場合、一時所得となりますが、満期保険金を年金で受け取った場合は雑所得となります。
また子が父親に生命保険をかけ、子が保険金を受け取る場合、保険金は一時所得となり、所得税の課税になります。
父親が自分自身に生命保険をかけ、子が保険金を受け取る場合、相続税が課税されます。
母親が父親に生命保険をかけ、子供が保険金を受け取る場合、贈与税が課税されます。
被保険者 | 保険料負担者 | 保険金受取人 | 税金 |
父親 | 父親 | 子供 | 相続税 |
父親 | 子供 | 子供 | 所得税 |
父親 | 母親 | 子供 | 贈与税 |
一時所得の控除と課税額の計算式
一時所得は、所得金額の計算上、特別控除額50万円を控除することとされており、その残額の2分の1の金額で所得税額を計算しますが、計算式は以下のようになります。
(一時所得の金額-経費 - 特別控除額50万円) × 1/2 = 一時所得の課税所得金額
また、一般的な給与所得者については、その給与以外の所得金額が年間20万円を超えない限り、確定申告の必要がないとされているので、他の所得がある場合を除き、収入金額が90万円を超えなければ、確定申告をする必要はありません。
ただし、一時所得が1円以上ある場合、20万円以下でも住民税の確定申告が必要です。
所得金額に応じた一時所得の課税例
例えば上記の計算で課税金額が300万円となった一時所得があった場合、その他の給与所得が2000万円であれば、併せて総額2300万円の課税所得があったとみなされます。
早見表で見ると、課税所得2300万円の税率は40%なので、税額は、一時所得分の加算で、300万円 × 0.4(税率)=120万円増えたことになります。
なお所得全額に対する税額合計は、(2300万円-所得控除額) × 0.4 - 控除額2,796,000円で出た額となります。
所得金額に応じた累進課税率の速算表
総所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円以下〜330万円以下 | 10% | 97500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427500円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 636000円 |
900万円超〜1800万円以下 | 33% | 1536000円 |
1800万円超〜4000万円以下 | 40% | 2796000円 |
4000万円超 | 45% | 4796000円 |
一時所得と雑所得の違い
一時所得は労働以外で得た一時的な所得であるのに対し、雑所得の対象には、給与の一部も含まれたり、継続的な所得も含まれる場合があり、以下のような例が当てはまります。
不動産や山林による所得
譲渡所得
利子による所得
副業の給与所得
退職所得
公的年金
印税
インターネットオークション
株式など金融資産の取引による所得
一時所得との判別が難しい場合は税理士さんに相談しましょう。
一時所得のよもやま話・豆知識
サイト内ポイントによる一時所得
ゲームやアンケートなどでポイントを稼いだ場合は、その額が課税対象になります。
臨時的にポイントを獲得した際には、一時所得扱いになったり、プレゼントとして雑所得扱いになる場合があります。
ポイントを現金や電子マネーなどに交換し、その金額が20万円を超えると確定申告が必要ですが、換金や交換しない段階では必要ありません。
無申告の場合は、無申告加算税や滞納税の支払い対象となります。
またECサイトなどで貯めたポイント等、サイト内の商品の値引きに利用するものは、確定申告は必要とされていません。