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不納付加算税

2023-02-142023-02-14

一言でいうと?

不納付加算税(ふかさんのうふぜい)とは、源泉徴収等による国税が法定納期限までに完納されなかった場合に、一定の割合で徴収される罰則的税金のことで、不納付加算税は、法定納期限までに納付しなかったことについての正当な理由がある場合や、納期限後の納付状況や金額によって軽減されたり、不適用になります。

不納付加算税とは

不納付加算税とは、事業主が従業員などへの給料等から源泉徴収として天引きした所得税を、税務署へ納付する納期限(納期の特例の適用を受けている場合を除き、原則として、給料支給日の翌月10日まで)に支払わなかった場合に、ペナルティーとして課税される税金で、1日でも納付が遅れると課される税です。

不納付加算税は、加算税のひとつで、申告納税制度の定着と発展を図るため、申告義務が適正に履行されない場合に課されるもので、一種の行政制裁的な性格を有します。

不納付加算税の金額と不適用・軽減になる条件

不納付加算税の金額は、納付すべき所得税の10%ですが、税務署から指摘される納税の告知前に自主的に納付した場合には5%に軽減されます。

また以下の場合には、不納付加算税は免除されます。

期限までに納税できなかった正当な理由があるとき

納期限から1ヶ月以内に納付した場合において、過去1年間に期限後納付がない場合

不納付加算税の金額が5,000円未満となる場合

納税できない正当な理由で不納付加算税が免除になる時とは

正当な理由があり、源泉所得税を納税できなかった場合で、不納付加算税が不適用なる時とは、例えば、従業員が扶養控除等申告書などの書類を誤って記入し、その誤った申告書に基づいて控除したことによって源泉所得税額が過少となっていた場合などがあげられます。

また、災害等によって真にやむを得ない事由があると認められるときなどについても正当な理由があるものと認められます。

期限から1ヶ月以内に納付し不納付加算税が免除になる時とは

源泉所得税をうっかり期限内に納付することを忘れてしまった場合で、法定納期限から一カ月を経過する日までに納付したときは、納付する意思があると認められ、不納付加算税が免除になります。

ただし、直近一年以内に、税務署から納税の告知を受けたりしたことや、源泉所得税の納付漏れがないことや、期限後に納付した事実がない場合に限られます。

加算税が少額であることにより不納付加算税が免除になる時とは

加算税の金額が5千円未満となるときは、切捨てられることとされているため、その場合不納付加算税はかかりません。

税務署から指摘される告知前に自主的に納付する場合には、例えば、納付すべき源泉所得税70,000円×5%で不納付加算税が3,500円となる場合は、5,000円未満のため免除されます。

また、税務署から指摘された告知後に納付する場合で、納付すべき源泉所得税50,000円×10%で不納付加算税が5,000円となる場合は、5,000円以上のため免除されません。

不納付加算税を防ぐための源泉所得税の納期の特例

給与などから源泉徴収した所得税は、給与の支給人員が常時10人未満である場合には、その源泉徴収した所得税を半年分まとめて納めることができる特例があり、不納付加算税を防ぐための有効策となります。

これを納期の特例といい、適用を受ける場合には、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出します。

また納期の特例を受けている源泉徴収義務者が、給与の支給人員が常時10人未満でなくなった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出することになります。

不納付加算税を防ぐための納期の特例の納期

不納付加算税を防ぐための源泉所得税の納期の特例の納期は、1月から6月までに支給した給与から源泉徴収した所得税は、7月10日に、7月から12月までに支給した給与から源泉徴収した所得税は翌年1月20日にと、半年分ずつまとめて納めることができます。

一年に2回の納付で済むことになり、不納付加算税の発生の確率も下がることに貢献すると考えられます。

不納付加算税を防ぐための納期の特例の対象

不納付加算税を防ぐための納期の特例の対象となる源泉所得税は、給与や退職金から源泉徴収した所得税及び税理士・弁護士・司法書士などの報酬から源泉徴収した所得税に限られ、その他の報酬に係る源泉所得税については納期の特例の対象外です。

なお、税理士や弁護士に支払う報酬に係る源泉所得税も納期の特例の対象ですが、原稿料や講演料に係る源泉所得税、デザイナーなどに支払う外注費に係る源泉所得税は、納期の特例の承認を受けていたとしてもこの特例は適用できず、原則どおり翌月10日までに納付することが必要となります。

不納付加算税を防ぐための納期の特例の申請書の提出期限

不納付加算税を防ぐための納期の特例の申請書の提出期限は定められておりませんが、提出した日の翌月に支払う給与等からの適用となります。適用されるまでの間は、原則どおり支給月の翌月10日までに納付する必要があります。

例えば、7月に会社を設立、8月に「源泉税の納期の特例の申請書」を提出した場合には、7月徴収分と8月徴収分は翌月10日までにそれぞれ納付する必要があり、申請した月の翌月9月に徴収した所得税からが納期の特例の対象になり、設立月又は申請月から納期の特例は適用できないことになります。

不納付加算税を支払った時の仕訳

不納付加算税を支払ったときは、「租税公課」または「雑損失」の勘定科目を使って仕訳を計上するのが一般的です。

(租税公課 または 雑損失)○○円 /(現金) ○○円

なお、法人税等の計算にあたって、他の加算税、延滞税と同様に不納付加算税を損金算入することはできません。

「租税公課」や「雑損失」などで仕訳計上した場合は、「法人税確定申告書」での調整が必要となりますが、これらの調整を忘れないようにするために「租税公課」や「雑損失」は損金不算入の項目を補助科目で区分しておくとよいでしょう。

不納付加算税のよもやま話・豆知識

不納付加算税以外の加算税

不納付加算税以外の加算税は、「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」があります。

このうち一番厳しいのは、重加算税で、仮装や隠蔽を行っていた際に課せられ、期限内に申告している場合は、過少申告加算税や不納付加算税に代えて追加本税の35%、期限後の申告の場合は無申告加算税に代えて納付税額の40%が加算されます。

加算税の納期限は通知書や告知書の発行日の翌日から換算して1月を経過するまでですが、申告および納税が不適切、また脱税犯・無申告犯・不納付犯等に該当する場合は刑事罰が課せられます。

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