引当金
2022-11-162022-11-16
一言でいうと?
引当金(ひきあてきん)とは、会社経営において、将来発生する損失や特定の支出に備えるために、見積もりし、積み立てておく費用です。
引当金とは
引当金とは、会社を経営していく上で、将来的に支出することが予測可能な出費に対して、それに備えて見積もり、準備しておく経費処理を意味します。
企業経営において、決算書を作成する場合、確定している負債は間違いなく計上する必要がありますが、支払いが不確定であったとしても、一定の条件を満たせば引当金として、将来の支出について準備すべき費用を計上することが可能となります。
引当金の具体例として、将来の退職者への退職給付引当金や、貸倒れに備えた売掛金などの貸倒引当金が該当します。
引当金の要件
引当金は、企業会計原則で以下の通り要件が定められており、これらを満たすことで損益計算書に計上可能となります。
・将来の特定の費用又は損失であること
・その発生が当期以前の事象に起因していること
・その発生の可能性が高いこと
・その金額を合理的に見積もることができること
これら全ての要件満たす場合においてのみ、引当金として計上が可能になります。
引当金の種類
引当金は2つに分類することが出来ます。
・評価制引当金
・負債性引当金
引当金は将来に発生する特定の費用と損失に備える目的で計上が可能となっていますが、特定の費用についての引当金を負債性引当金と言い、損失については評価制引当金と分類しています。
評価制引当金とは
評価制引当金とは、将来の損失に備えておくために計上する引当金です。特徴として貸借対処表では左側(資産部分)の運用形態を示す部分にマイナス表示されます。評価制引当金の具体例として貸倒引当金や投資損失引当金があります。
負債性引当金とは
負債性引当金とは、将来の特定の費用に備えておくために計上する引当金で、引当金の多くが負債性引当金になります。また負債性引当金には債務性の有無で分けることが出来ます。
債務性あり:賞与引当金 退職給付引当金 製品保証引当金 返品調整引当金 売上割戻引当金
債務性なし:修繕引当金 債務保証損失引当金 損害補償損失引当金
引当金計上の目的
引当金を計上する目的は、間違いのない損益計算を行うことで、投資家や金融機関が会社の経営について正しく把握することにあると言われています。
引当金を計上しなかった場合、将来間違いなく発生する費用や損失が突然発生してしまうかたちになり、会社の利益が大きく減り、経営状態が不安定だと判断されてしまいます。
しかし引当金を計上することで、費用や損失の均一化と利益が安定的に生み出されるようになります。
加えて、決算は過去と比較して状況を判断しますので、あらかじめ見込まれる費用であれば、それを各年度で計上しておくことで、各年度の利益変動の影響を押さえることもできます。
ただし引当金は一定の貸倒引当金を除き、税務上の経費としては認められないため、税金を減らす効果は殆どありません。しかし税務上優遇されていないからという理由で引当金を計上しなくて良いというわけではありませんので、可能な限り決算書に記載することをおすすめします。
引当金のよもやま話・豆知識
引当金と準備金の違い
引当金は将来の特定の支出や損失に備えるために、貸借対照表の負債の部に計上される金額のことです。それに対して準備金とは将来見込まれる多額の支出や損失の発生に備えて、貸借対照表の純資産の部に積み立てる金額のことです。準備金は引当金とは異なり、準備金として認められるための要件がなく計上することも出来ません。