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益金参入・不算入

2023-01-122023-01-12

一言でいうと?

益金参入・不算入(えききんさんにゅう・ふさんにゅう)とは、会計上の収益には計上していませんが、税務上では計上する収益で、売上の計上漏れ、貸倒引当金の取り崩し、退職給付引当金の取り崩しなどがあり、また益金不算入とは、会計上は収益に計上しているが、税務上は計上しない収益をいい、受取配当金や税金の還付などがあり、益金算入・不算入のどちらも法人税申告書の税務調整の際に必要な経理処理となります。

益金算入・不算入とは

益金算入は、会計上の利益の計算に含めなかった項目を、税務上は益金としてプラスすることで、益金不算入とは、会計上の利益の計算に含めた項目を、税務上は益金としては含めない計算をすることです。

会計上における企業の儲けは、「会社の利益」で、会社法によって計算し、株主等へ財政状態や経営成績などを正確に報告することを目的としていますが、一方、税務上における企業の儲けは、「会社の所得」として、税金の額を計算するもので、課税の公平が目的です。

益金算入・不算入の税務調整

「益金」とは、資本等の取引によるものを除く、法人の資産を増加させる収益の額のことです。

しかし必ずしも、会計上の「収益」の額がそのまま「益金」の額ということにはならず、税務申告で調整が必要となります。

法人税法では、益金の額に算入、不算入とするものは、規定されています。

また会計上の「費用・経費」のことを、法人税法上は「損金」と呼びますが、会計上の「費用・経費」と法人税法上の「損金」の金額も必ずしも一致しません。

「費用・経費」と「損金」の差額については税務申告で調整が必要となります。

益金の該当例

益金という概念は、法人税法上で定められており、商品の売上やサービス提供に対する報酬などの収益を指します。

法人税法第22条2項では「別段の定めがあるもの」を除いて、次の5つが益金に該当すると記載されています。

資産の販売

有償または無償による資産の譲渡

有償または無償による役務の提供

無償による資産の譲受け

その他の取引で資本等取引以外のもの

益金算入のタイミング

益金算入のタイミングは、次の通りとなります。

物品や固定資産の引渡し・譲受けがある取引の場合は「物品の引き渡し・譲受けがあった日」

役務の提供がある取引の場合は「役務の提供が完了した日」

ただし、長期的な月額や年額での支払いなどの「長期割賦販売等」が当てはまる場合や、長期大規模工事に該当する場合には特例が認められます。

益金不算入の具体例

益金不算入は、益金の条件に当てはまらないもの、または益金の条件に当てはまるが、二重課税になったり不合理な益金になったりするもので、益金不算入があれば、その期の法人税の額を減少させることができます。

不算入となる具体的な益金は以下のとおりです。

・株式の配当金などの受取配当金

・所得税や法人税などの税金の還付金

・保有する資産の評価益

「益金にすると二重課税になるもの」は、「受取配当等の益金不算入制度」が定められていますが、対象金額のうち、全額ではなく一部だけ不算入となるケースもあるため注意が必要です。

損金算入・損金不算入

損金とは、資本等の取引以外の、法人の資産の減少の原因となる原価や費用、損失などの額のことをいいます。

益金と同じように会計と税法による扱いの違いによって、会計では費用、税務では損金が使われます。

「減価償却費」や「引当金の繰入れ」のような費用を損金にするためには、損金処理が条件となります。

会計上の費用は簿記や企業会計原則のルールに則っていれば全額認められますが、税法上の損金算入・損金不算入では、法人税法で損金にできる項目と限度額が設定されています。

損金算入とは

損金算入とは、会計上「費用」としていないのに、税務上は「損金」扱いにすることです。

損金算入の例は、「法人事業税」や青色申告の「繰越欠損金」の控除などがあります。

法人事業税は、損金にできる税金ですが、損金にできる時期は税額を計算している時期ではなく、申告書を提出した時点です。

また繰越欠損金は、費用に計上しても損金に計上しないと損金に算入することはできません。

損金算入には、債務が確定していること、事実が発生していること、また金額が合理的なことなど、厳しいルールが設けられています。

損金不算入とは

損金不算入とは、会計上は「費用」で処理できても、税法では「損金」とされないものをいいます。

損金が多いほど、会社が払う税金は少なくなりますので、会社が不正を働かないよう、損金に入らない「損金不算入」という項目を設けています。

損金不算入の該当例

損金不算入になる項目は、全部で6項目あります。

・役員報酬

・寄付金の一部

・交際費(原則は「損金不算入」ですが、条件を満たせば損金に算入可 )

・減価償却超過額(減価償却額が限度額を超過するときに損金不算入になります)

・同族会社と経営者の取引

・税金(法人税や地方法人税、延滞税など)

益金算入・不算入の税務調整の流れ

まずは貸借対照表や損益計算書を作成し、会計上の利益を計算します。

会社の利益(会計) = 収益 - 費用

そして、当期純利益に加算項目(益金算入、損金不算入)を加算し、減算項目(益金不算入、損金算入)を減算して課税所得金額を計算します。

会社の利益(税務) = 益金 - 損金

「益金算入」があれば、損益計算書をもとに計算される法人税等の額よりも、実際の法人税の課税所得金額が増加します。

会計上の利益をはっきりさせてから、課税所得及び税金を計算し、確定申告書を作成します。

益金算入・不算入のよもやま話・豆知識

益金算入・不算入の仕訳例

決算で、当期純利益200万円を計上したが、受取配当金の益金不算入額20万円があることが判明した場合の仕訳例を紹介します。

当期の法人税等の法定実効税率を40%、中間申告の際に計上した仮払法人税等の残高は30万円として、未払法人税等を計上します。

計算

法人税等金額(200万円 - 20万円) × 税率0.4 = 72万円

未払法人税等金額 72万円 - 30万円 = 42万円

仕訳

借方科目金額貸方科目金額
法人税等720000仮払法人税等300000
未払法人税等420000
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