地方消費税
2023-04-272023-04-27
一言でいうと?
地方消費税(ちほうしょうひぜい)とは、消費税と同様に商品の販売やサービスの提供などの取引にかかる税金であり、消費税が国税であるのに対し、地方消費税は、地方税(都道府県や市町村に納付する税金)となりますが、消費税が課税される取引には合わせて地方消費税も課税され、同時に所管税務署や税関へ納付されたあと、各都道府県や市町村に分配されます。
地方消費税とは
地方消費税は、消費一般に広く公平に負担を求める道府県税で、税制改革の一環として、地方分権の推進、地域福祉の充実等のため、地方税源の充実を図る観点から、消費譲与税に代えて新た創設され、平成9年4月に導入されました。
地方消費税の使途としては、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費その他社会保障施策(社会福祉、社会保険及び保健衛生に関する施策)に要する経費(税率引上げ分のみ)となります。
消費税(国税)と地方消費税(地方税)の割合
消費税全体の税率は現在、10%(軽減税率8%)ですが、そのうち地方消費税分は、2.2%(軽減税率では1.76%)となり、消費税(国税)分は7.8%(軽減税率では6.24%)となります。
地方消費税の納税義務者・納付額・納税時期・納税方法
地方消費税の納税義務者は、国内取引(譲渡割)では、資産の譲渡・貸付け及び役務の提供を行う個人事業者と法人で、輸入取引(貨物割)では、外国貨物を保税地域から引き取る者です。
納付額は、国税の消費税の課税標準額 × 22/78(税率) = 地方消費税額です。
地方消費税の国内取引の申告・納付は、税務署に消費税とあわせて行います。
地方消費税の申告・納付期限は、個人事業者は、1月1日~12月31日の期間分として翌年の3月末日まで、法人は事業年度終了の日の翌日から2か月以内となります。
地方消費税の清算と交付
地方消費税は、国は納付があった月の翌々月末日までに、地方消費税を都道府県に払い込む一方、都道府県は徴収取扱費を国に支払います。
本来の課税地である最終消費地と税収の帰属を一致させる必要があることから、各都道府県に納付された地方消費税収については、各都道府県間において「清算基準」に応じて調整を行います。
その理由は、例えば、A県民が布団やパジャマなど、A県の自宅で消費するものを購入したとしても、その購入先がB県であれば、A県民が支払った地方消費税はそのB県の収入となってしまうからです。
地方消費税の3つの「清算基準」
各都道府県に払い込まれた地方消費税は、都道府県ごとの消費に相当する額に応じてあん分し、清算されますが、地方消費税の分配にあたって基準となるのは、総務省が定める「清算基準」で、次の3つになります。
(1)「小売年間販売額(商業統計)」
(2)「サービス業対個人事業収入額(経済センサス活動調査)」
(3)「人口(国勢調査)」
また清算基準のウエイトは
(1))+ (2)の合計分が、全体の50%(1/2)となります。
(3)は単独で、全体の50%(1/2)となります。
地方消費税の清算基準の「小売年間販売額」とは
地方消費税の清算基準である「小売年間販売額」とは、一般的には、1年間の卸売・小売業者による小売販売の総額を指し、5年に一度の商業統計をもとに算出されます。
具体的には、ある事業者が1年間に行った小売販売の総額から、「通信・カタログ販売」「インターネット販売」の額など、一定の控除額を差し引いた金額が、「小売年間販売額」として計算されます。
地方消費税の清算には、「小売年間販売額」のほかにも、事業者の所在地や税率などの要因が考慮されます。
地方消費税の清算基準の「サービス業対個人事業収入額」とは
サービス業対個人事業収入額のもととなる経済センサス活動調査は、我が国における全産業分野の経済活動を同一時点で網羅的に把握すること等を目的として創設され、5年に1度実施される統計調査です。
この調査では、事業所の業種、従業員数、生産額、営業収益、経費などの経済活動に関する様々な情報を収集し、統計データとして公表しており、これにより、国内の産業構造や経済動向を把握することができます。
統計調査の重複を防ぐことから、経済センサス活動調査実施年には商業統計調査は中止となります。
方消費税の各区市町村への交付
地方消費税の都道府県間の清算後の金額の2分の1相当額は、人口及び従業者数に応じて各区市町村に交付されます。
地方消費税の各区市町村への交付基準は、「人口(国勢調査)」と「従業者数(経済センサス基礎調査)」1:1で按分されますが、平成26年4月以降の税率引上げ分については、「人口」のみで按分します。
地方消費税のよもやま話・豆知識
地方消費税の「清算基準」の問題点
地方消費税の清算基準についての問題点は、都道府県別1人当たり最終消費額が都道府県間で異なる場合や、1人当たり最終消費額が低い都道府県ほど過大に評価されるのではないかといったこと、また商業統計や経済センサス活動調査では、都道府県別の販売額が把握できない業種があることなどが言われています。
また実際に消費データが存在するにもかかわらず,現行の制度はバイヤスがかかりやすい、販売額、人口、従業者数を利用していることにも問題を指摘する声があります。