青色事業専従者給与
2022-12-202022-12-20
一言でいうと?
青色事業専従者給与(あおいろじぎょうせんじゅうしゃきゅうよ)とは、青色申告者と生計をひとつにする配偶者や子などが、青色申告者の事業の従業員として働いた場合、その支払われた給与が経費となり控除の対象になることをいい、青色事業専従者給与を適用すれば、家族全体の所得総額を変えずに節税ができるメリットがあります。
青色事業専従者給与とは
青色事業専従者給与とは、申告を行う年の12月31日に15歳以上である青色申告者の6親等内の血族、配偶者、または3親等内の姻族で、青色申告者と生計を一にする親族が、青色申告者の事業の従業員として専従して働いた場合に、その給与に対して、青色申告者が青色専従者給与を受けられます。
また、生計を一にするとは、日常生活上の家計を共有していることで、別居して仕送りをしている場合や、生活費を援助している場合なども、この条件に当てはまります。
青色事業専従者給与の申請の流れ
青色事業専従者給与において、家族への給与の限度額は税務署へ届けた金額の範囲内となり、例えば200万円で届け出れば「青色事業専従者給与」として200万円までの範囲内で適正な金額が経費として計上できます。
また、青色事業専従者給与を算入しようとする年の3月15日までに納税地の税務署長へ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておく必要がありますが、新たに事業を始めたときや、新たに青色事業専業専従者になった人がいるときは、そのタイミングから2カ月以内に届け出をします。
青色事業専従者給与の申請の注意点
青色事業専従者給与は、申請時の青色事業事業専従者給与が、他の従業員の給与や、同業他社の給与と比較して、著しく金額に乖離がある場合には、認められないので注意しましょう。
青色事業専従者給与は、届出書の記載方法により支払われ、しかも記載されている金額の範囲内で支払われたものであること、労働の対価として妥当であると認められる金額であることが必要で、過大とみなされた部分は必要経費とはなりません。
また青色専従者給与は、「他に本業があり、休日にだけ家族が事業を手伝う」といったケースでは、認められないでしょう。
青色事業専従者給与と白色事業専従者控除(専従者控除)の金額の比較
青色事業専従者給与は、例えば配偶者の給与が150万円でそれが適正と認められれば、その全額が控除額となりますが、白色申告の専従者控除は、配偶者の給与が150万円でも、控除額の限度額は86万円となります。
またその他の親族については、給与の額に関わらず50万円が控除の上限となります。
青色申告は、青色事業専従者給与の他に青色申告特別控除もあり、節税効果が高いですが、複式簿記での帳簿作成や、「損益計算書」と「貸借対照表」の作成、確定申告書(B)や青色申告決算書、控除を証明する書類などを提出する必要があります。
青色事業専従者給与のメリット分岐点
青色事業専従者給与を適用すると、38万円の配偶者控除や、扶養控除は受けられなくなります。
そのため、専従者給与が38万円よりも少ない場合は、扶養控除を受けたほうが青色事業専従者給与を受けるよりも、得になると考えられます。
また給与額によっては、青色事業専従者も所得税を支払う義務が発生し、それにより青色申告者の納税額も変わってくる場合があるため、一つの家計として合算した所得税の全額を考える必要があります。
尚現在は納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合は、配偶者控除の適用はありません。
青色事業専従者給与のよもやま話・豆知識
青色事業専従者給与、扶養控除、専従者控除の所得税額の計算式
青色専従者給与
(所得-専従者給与-基礎控除48万円(※))×税率-税額控除=所得税額
(※)納税者本人の合計所得金額が2400万円以下の場合。以下同じ
38万円の扶養控除
(所得-扶養控除38万円-基礎控除48万円)×税率-税額控除=所得税額
専従者控除(白色申告)
(所得-専従者給与控除-基礎控除48万円)×税率-税額控除=所得税額
専従者給与控除は、配偶者86万円、その他の親族50万円か、控除前の事業所得等の金額を『専従者の数+1』で割った金額のどちらか低い方になります。
また所得控除には、医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除などがあります。