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確定申告で忘れてはならない15の所得控除

2022-06-212022-07-20

一言でいうと?

確定申告で利用可能な所得控除は雑損控除 ・医療費控除 ・社会保険料控除 ・小規模企業共済等掛金控除 ・生命保険料控除 ・地震保険料控除 ・寄附金控除 ・障害者控除 ・寡婦控除 ・ひとり親控除 ・勤労学生控除 ・配偶者控除 ・配偶者特別控除 ・扶養控除 ・基礎控除です。

目次

確定申告と所得控除

確定申告において所得控除は重要です。なぜなら所得控除を利用することで、納めるべき税金が減るからです。誰も納付すべき税金を増やしたいとは考えてないでしょう。となれば所得控除を忘れてはなりません。

所得と収入と所得控除

そもそも所得とはなんでしょうか。所得を理解する上で重要なのが収入の理解です。収入とは勤務している会社やアルバイト先から受け取っていた給与を意味します。個人事業主として事業をされている方は、その事業によって得た売上が収入になります。

一方で所得とは、その収入から必要経費を引いた額を意味します。必要経費とは、例えばお店であれば、その品物を仕入れるために支払った代金が該当します。つまり品物の売価から仕入れの値段を引いた額が所得(売上)となります。そして主に税金の計算はこの所得に対して行われます。

最後に所得控除ですが、所得を得ることで一定の税率が掛けられますが、その所得税を計算する際に、ある要件に当てはまると、所得から差し引かれるものとなります。例えば所得が100万円だった場合、所得控除を受けることで、その100万円が下がるため、その分税額も減ることになります。

物的控除と人的控除に2種類ある所得控除

所得控除には物的控除と人的控除の2種類あります。物的控除の代表例は医療費控除や寄付金控除など社会的な側面を持っています。人的控除はひとり親控除や配偶者控除など、個人の事情が反映されています。

ちなみに控除には所得控除の他に税額控除もあります。所得控除は所得を減らして計算しますが、税額控除は所得税そのものを減らします。

物的控除

まずは所得控除の中でも物的控除から紹介します。物的控除は雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・寄附金控除です。

物的控除1:雑損控除

雑損控除は主に自然災害や盗難、横領などによって資産が減少した場合に利用が可能です。

雑損控除は確定申告をしなければ控除が認められません。年末調整では認められていませんので、ご自身で別途確定申告をしましょう。

雑損控除額は以下のどちらか金額が多い方で計算します。

・差引損失額−総所得金額等 ✕ 10%

・差引損失額のうち災害関連支出の額−5万円

※差引損失額とは、ご自身が任意で加入していた保険等によって補償された金額を差し引いた額を意味します。

※雑損控除と災害減免法は併用不可のため、よりご自身の負担が少ない方を選びましょう。

物的控除2:医療費控除

医療費控除は支払った医療費が1年間に10万円を超えた場合に適用されます。支払った医療費とは、医療費保険や給付金などを差し引いた、実質支払った医療費を意味するので注意が必要です。

また医療費控除は確定申告が必要となりますので気をつけましょう。

ちなみに医療費の中には、病院に対して支払った医療費だけでなく、薬局で処方された薬、処方箋が発行されていないドラッグストア等で購入した薬(セルフメディケーション制度の対象の薬)、電車やバスでの通院交通費(タクシー代は除く)も含まれます。

医療控除額は以下のとおりです。

・実質負担した医療費(薬代や通院交通費含む) − 10万円

・200万円以下の所得の方は、総所得金額等 ✕ 5%

物的控除3:社会保険料控除

社会保険料控除は、健康保険料や国民年金保険料、厚生年金保険料を支払った場合に適用されます。そこには生計を一にする配偶者や子供、その他の親族も含まれます。

社会保険料控除は、支払った保険料の全額が控除対象で、年末調整の対象となっていますので給与所得者は確定申告は必要ありません。

ただしiDeCoなどの確定拠出年金に加入している方は社会保険料控除となりませんので注意しましょう。

物的控除4:小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済や企業型確定拠出年金(企業型DC)、個人型確定拠出年金(iDeCo)、心身障害者扶養共済制度に加入している方を対象にしており、掛金全額が所得控除となります。

物的控除5:生命保険料控除

生命保険料控除とは、生命保険や医療保険、介護保険、個人年金保険を加入している方を対象にした所得控除です。給与所得者であれば、年末調整で生命保険料控除の申請が可能です。

ただし申請するためには10月あたりに保険会社から送られてくる控除証明書を勤務先に提出しておく必要があります。つまり提出をしなければ所得控除を受けることはできません。控除証明書は忘れずに保管しておきましょう。

生命保険料の控除額はこちらを御覧ください。

物的控除6:地震保険料控除

地震保険料控除は生命保険料控除と非常に似ています。つまり地震保険料に加入している方が控除を受けることができます。

また地震保険料控除を適用させるためには、生命保険料控除と同様に控除証明書を提出する必要があるので、給与所得者の方は気をつけましょう。

地震保険料の控除額はこちらをご覧ください。

物的控除7:寄付金控除

ふるさと納税によって近年非常に注目されるようになった寄附金控除とは、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して、特定寄附金を支払った場合に受けられる所得控除です。

代表例がふるさと納税です。ふるさと納税とは任意で自治体を選び、寄付することで寄付金控除を受けられる制度です。ふるさと納税によって寄付した金額のうち、2000円を超えた額が所得税の還付、住民税の控除が受けられ、さらに寄付先の自治体から寄付額に応じた返礼品を受け取ることもできる非常にお得な制度です。

人的控除

次に人的控除を紹介します。人的控除には障害者控除・寡夫控除(寡婦控除)・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・基礎控除です。

人的控除1:障害者控除

障害者控除とは、納税者本人かあるいは生計を一にしている配偶者や扶養している親族の中に、所属税法における障害者がいる場合に、所得控除を受けることができます

障害者控除の額はこちらを御覧ください。

人的控除2:寡婦控除・寡夫控除

寡婦控除・寡夫控除の寡婦・寡婦とは所得税法において、夫・妻(配偶者)と死別、もしくは離婚した後に婚姻をしていない、あるいは夫・妻が生きているかどうか不明な状態かつひとり親に該当せず、所得が500万以下の人を意味します。つまり寡婦控除・寡夫控除は、これらの条件を満たしている方の所得税を控除するという制度です。

・夫・妻と離婚し、その後婚姻せず、扶養親族がいる人の合計所得金額が500万以下の方

・夫・妻と死別し、その後婚姻していない、または夫・妻の生死が不明で、扶養親族がいるかどうかは不問で、合計所得金額が500万以下の方

人的控除3:ひとり親控除

所得税法上のひとり親とは、12月31日の時点で、婚姻をしていないこと、または配偶者が生きているかどうか不明な人、かつ以下の条件を全て満たす人です。

・婚姻関係の相手がいない人

・生計を一にする子供がいる

・合計所得金額が500万以下の人

上記の条件を満たした方に対して、一定額の所得控除を受けることができます。ひとり親控除の金額は35万円です。

人的控除4:勤労学生控除

所得税法における勤労学生とは、12月31日の時点で以下の条件を満たしている人です。

1勤労による給与所得がある

2合計所得金額が75万円以下で1の所得以外の所得が10万円以下

3以下の条件を満たす学校の学生・生徒であること。

 ・学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校

 ・国、地方公共団体、私立学校法の第3条に規定されている学校法人、同法第64条第4項に規定する法人、これらに準ずる一定の者により設置された専修学校または各種学校のうち一定の過程を履修させるもの

 ・職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

勤労学生控除の控除額は27万円です。

人的控除5:配偶者控除

配偶者控除とは、納税者に所得税法における控除対処配偶者がいる場合に受けられる制度となっています。控除対象配偶者かどうかは以下の条件を満たしているかどうかになります。

・民法で規定されている配偶者(内縁は不可)

・納税者と生計を一にしている

・1年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は103万円以下)

・青色申告者の事業専従者として、年間通じて一度も給与の支払いを受けていない。または白色申告社の事業専従者でない。

ちなみに配偶者控除を受ける納税者の合計所得金額が1000万円を超える場合は適用されません。

配偶者控除の金額はこちらを御覧ください。

人的控除6:配偶者特別控除

配偶者特別控除は以下の要件を満たす方を対象にする所得控除です。

控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であることが条件です。

  1. 配偶者が、次の要件全てに当てはまること
    • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は対象外)
    • 控除を受ける人と生計を一にしていること
    • その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
    • 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下(平成30年分から令和元年分までは38万円を超え123万円以下)であること
  2. 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと
  3. 配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)
  4. 配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)。

配偶者特別控除の金額はこちらを御覧ください。

人的控除7:扶養控除

扶養する家族が一人でもいる場合は扶養控除を受けることができます。ただし控除となるためには扶養親族のうち、12月31日の時点で、扶養されている方の年齢が16歳以上である必要があります。

扶養控除の年齢と控除額はこちらを御覧ください。

人的控除8:基礎控除

基礎控除は、要件がなく、誰でも対象となる所得控除です。控除額は48万円です。つまり年間の合計所得金額が48万円以下でしたら基礎控除の48万円によって所得が0円となり、所得税も0円となります。

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