会社設立を行政書士に依頼した場合の費用とその相場
2022-09-272022-09-27
一言でいうと?
会社設立の費用について、手続きにおける諸経費として株式会社の場合は紙ベースの定款で24万円程度、電子データの定款で20万円程度必ずかかります。一方で合同会社の場合は紙ベースの定款で10万円、電子データの定款で6万円です。そしてこれらとは別に行政書士に対する報酬として7万5000円程度の費用がかかります。
目次
会社設立をする場合、選択肢になるのが株式会社と合同会社
会社設立を検討する際、多くの方が株式会社の設立を考えますが、2006年に会社法が改正され、有限会社などが廃止され、新たに合同会社が誕生しました。これによって会社は「株式会社 合同会社 合名会社 合資会社」の4種類となりました。
今回は株式会社と合同会社に絞って設立の手順や、行政書士に設立依頼をしたときの費用や相場などを紹介します。
株式会社と合同会社の違い
先程説明した通り2006年の会社法改正によって合同会社が新たに生まれました。そこで株式会社と合同会社の違いを大まかに紹介します。
【株式会社の特徴】
株式を発行して資金を集めて作られます。会社の経営において非常に重要な資本を所有するのは株主ですが、会社の経営は必ずしも株主ではありません。所有と経営が分離されているのが株式会社の特徴です。会社の経営者は株主総会で選出します。
株式会社では決算公告が必要です。定款の認証も必要です。役員の任期は最長10年です。
【合同会社の特徴】
合同会社は株式を発行しません。所有と経営が分離する株式会社とは異なり、出資者と経営者が一致することが殆どです。ただし経営者である出資者は複数となることもありますので、会社経営における意思決定は出資をした社員全員で行います。株式会社の最高経営責任者を代表取締役といいますが、合同会社の場合は代表社員と呼びます。
合同会社では決算公告は不要です。定款の認証も不要です。役員も任期はありません。
会社設立の手順
会社設立には主に4つの手続きが必要となります。
1. 定款の作成 | 商号・事業内容・所在地・資本金額・公告方法・役員・発起人等を決定 |
2. 定款の認証 | 公証役場で定款を認証してもらいます |
3. 資本金の払込 | 出資者の口座に資本金を払い込みます |
4.登記 | 法務局に登記申請書と共に認証された定款を添付し提出して登録 |
※2は株式会社の場合は公証人に認証してもらいますが、合同会社は不要です。
※設立後に税務署に対する各種届出が必要ですが、会社設立までの手順のみに絞っています。
会社設立後の手続き
会社設立後も必ずしなければならない手続きがあります。それは税務署への各種届出です。具体的には新設法人の届け出、社会保険加入手続き、労働保険加入手続きなどです。ちなみにこれらは主に税理士が得意とする分野です。
会社設立を行政書士に依頼するときのメリットやデメリットとは
会社設立を検討する際、行政書士や司法書士、税理士を思い浮かべる方が多いと思いますが、行政書士が得意とするのは行政関係に提出する書類です。具体的には警察署や保健所などに提出する許認可申請の書類や権利義務関係の書類作成です。特に飲食業や建設業の許認可申請書の作成は行政書士に頼ると良いでしょう。
しかし残念ながら会社設立だけに絞って検討する際、行政書士は会社設立には向いていません。なぜなら先程紹介した「会社設立の手順」における「登記」ができないからです。登記が可能なのは司法書士だけなので、依頼を検討している行政書士が、他士業(司法書士や税理士)などと提携しているかどうかは必ず確認しましょう。もしも他士業と提携していない場合は、会社設立ができませんので注意しましょう。
会社設立を税理士に依頼するときのメリットやデメリットとは
先程説明した通り、会社設立において必ず必要な登記は司法書士にしかできませんので、税理士も行政書士同様に、他士業と提携していない税理士であれば会社設立には不向きです。
しかし他士業と提携している税理士であれば、会社設立だけでなく、会社設立後の手続きにおいても大きな力を発揮します。また決算や、節税対策、資金繰りの相談、補助金や助成金の支援なども行ってくれますので、この点は非常に大きなメリットとなるでしょう。
会社設立を行政書士に依頼する場合にかかる報酬相場
会社設立の費用について、手続きにおける諸経費として株式会社の場合は紙ベースの定款で24万円程度、電子データの定款で20万円程度必ずかかります。一方で合同会社の場合は紙ベースの定款で10万円、電子データの定款で6万円です。
そしてこれらとは別に行政書士に対する報酬として7万5000円程度の費用がかかります。
ちなみに司法書士の報酬相場は10万円程度、税理士は5万円程度です。税理士が安いのは、設立だけでなく、設立後も必要になるので、比較的安価だと言われています。
手続場所 | 名目費用 | 株式会社 | 合同会社 |
公証役場 | 定款認証手数料 | 50,000円 | 無料 |
定款印紙代 | 40,000円 | 40,000円 | |
定款謄本代 | 2,000円程度 | 無料 | |
法務局 | 登録免許税 | 150,000円〜 | 60,000円〜 |
合計 | 242,000円〜 | 100,000円〜 |
会社といってもいくつか種類がありますが、ご覧頂いた通り、会社設立をお得にするなら合同会社が安価です。
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会社設立は税理士・司法書士・行政書士のどれがおすすめか
会社設立を司法書士以外の行政書士や税理士に依頼する場合、必ず司法書士と提携しているか確認しましょう。なぜなら司法書士しか会社設立の登記ができないからです。
その上で、会社が飲食業や建設業などの行政の許認可を取得する必要がある事業であれば行政書士はおすすめです。またその行政書士が税理士とも提携していれば、設立後のフォローなどもお願いできるかもしれません。
一方で行政の許認可を取得する必要がない会社を設立する場合は、行政書士は不向きかもしれません。純粋に会社設立のみを実現したいのであれば司法書士、設立登記だけでなく設立後のフォローも必要であれば税理士が向いているでしょう。
会社設立はケースバイケースで頼るべき士業が異なります。まずはご自身がどんな目的で会社を設立するのかをしっかり理解することが大事でしょう。