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資本的支出があった場合の相続税の評価額

2023-05-182023-06-30

資本的支出とは

家屋の相続税評価は非常にシンプルで、家屋に対して課される固定資産税評価額に1.0を乗じて計算した金額とされています。ただし、資本的支出がある場合には取扱いに疑義が残ります。資本的支出とは、主に法人税や所得税などで重要な要素となる支出であり、固定資産の価値を向上させたり使用可能年数を延長させるための支出です。

資本的支出は、固定資産の取得価額に加算されることで、財産の価値向上を決算書上でも示すことが求められます。この考え方は相続税の評価においても重要な要素となります。固定資産税の評価額は過去のデータに基づいているため、資本的支出がある場合にはそれを考慮に入れないと正確な相続税評価が行えないとされています。

具体的な国税の通達は存在しないものの、国税庁のウェブサイトには以下のような取扱いが記載されています。

資本的支出があった場合の相続税評価額

相続税評価額には、増改築などを行った家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合、特定の基準に従って計算されます。国税庁のウェブサイトによると、該当の家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額に一定の金額を加算したものになります。

この一定の金額は、増改築などを行った家屋と類似の状況にある近隣の家屋の固定資産税評価額を基準に、構造、経過年数、用途などの差を考慮して評価されます。

ただし、例外として、類似の状況にある近隣の家屋が存在しない場合、相続開始日などの日から課税時期までの期間における増改築部分の再建築価額から償却費相当額を控除した金額の100分の70が、この一定の金額となります。

また、上記の例外の例外として、課税時期から申告期限までに、増改築などを考慮した固定資産税評価額が付された場合、その固定資産税評価額を基準として相続税評価額が計算されることになります。

一般的な修繕などは対象外

これらの扱いには、資本支出や増改築の場合の取り扱いが含まれます。同様の経費として、メンテナンスコストと呼ばれる修繕費も存在します。修繕費は、固定資産を使用する上で必要不可欠な費用であり、したがって、これらの費用を支出しても相続税評価額に追加する必要はありません。

つまり、支出が修繕費に該当するかどうかを検討する必要があるということです。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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