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代償分割と贈与税と生命保険のリスク

2023-04-242023-06-30

相続の3つの方法

相続財産を分割する際、その分割方法は以下の通り3つあります。遺産分割の方法については、メリットデメリットがそれぞれあり、一長一短です。

(1)現物分割

これが最も一般的なやり方で、被相続人の現物財産をそのまま分割する現物分割です。

(2)換価分割

相続財産に不動産などが含まれている場合に利用します。不動産の価値の低下が見込まれる場合は、早めに現金化し、その相続財産を換価して、そのお金を分割します。これを換価分割と言います。

(3)代償分割

特定の相続人が現物財産を相続する代わりに、その代償として、他の相続人にお金を渡します。これを代償分割と言います。代償分割をする場合に贈与税のリスクを抑えておく必要があります。

代償分割と贈与税のリスク

代償分割における代償金ですが、必ずしも相続財産から支出する必要はありません。本人のポケットマネーから支出することも可能です。

このポケットマネーですが、例えば3千万円を相続した場合、原則としてその3千万円の範囲で代償金を支払うことは何の問題もありませんが、ポケットマネーに加えて合計3千万円を超える代償金を支払った場合、その3千万円を超える部分は贈与として取り扱われることとされています。これが代償分割における贈与税のリスクです。

ポケットマネーで代償金を支払っても問題ないとしながらも、代償分割はあくまでも遺産分割の一種ですから、貰った遺産以上の代償金は遺産分割としては支出できないと判断されるのが理由です。つまり遺産分割として支出できないということは、それは単純にお金をあげたのと同義で、贈与として取り扱われ贈与税の対象になってしまうという理屈です。

生命保険に要注意

これらのことから、ご自身が取得した相続財産以上の代償金を支出してはならないということになりますが、例外もあります。例えば、被相続人が高額の保険をある特定の相続人のみにかけていたようなケースです。保険金をもらえない相続人は、高額の保険金含めて被相続人の財産と考えるのが普通でありつまりその保険金も分割すべきと考えます。

しかし、生命保険は遺産分割の対象になりません。つまり代償金の算定においても、保険金を加味することができません。このルールを失念して手続きをしてしまうと、保険金からも代償金を支払う、といった事態が生じ、結果的に贈与税が課税されてしまうことがありますので注意が必要です。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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