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倒産防止共済で加入者が亡くなった場合の取扱いと相続税との関係

2023-04-062023-06-30

有効な節税策である倒産防止共済

倒産防止共済は、個人事業主や会社が節税を検討する上で、最も効果の高いものの一つです。ちなみに倒産防止共済とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運用する共済です。年間掛金240万円迄、合計上限800万円までを経費とすることが可能です。更にこの掛金は一度に前納することもできます。つまり多大な利益がでた年は、この前納を利用して節税することが可能となります。

なお、個人事業主がこの制度の適用を受けるためには、確定申告書に所定の用紙を添付する必要があります。また解約時、積み立てた共済掛金は、個人事業主の事業所得に含まれますので、注意しましょう。

加入者が死亡した場合の二つの方法

倒産防止共済の加入者が死亡した場合の取扱いですが、大きく二つに分かれます。一つ目は加入者の相続人が事業を引き継ぎ、さらに共済契約者としての地位を承継するという方法です。このようなケースでは、独立行政法人中小企業基盤整備機構に指定された届出が必要となりますが、原則として所得税の課税はありません。

二つ目は、加入者死亡と同時に倒産防止共済を解約する方法です。ただし、先に述べた通り解約するのであれば、事業所得の収入金額に含まれますので、個人事業主の死亡の際に必要となる、所得税の準確定申告において、その申告が必要です。

死亡解約した場合の相続税との関係

所得税とは別に、倒産防止共済の加入者が死亡した場合、相続税の課税問題も生じます。この点、死亡で解約した場合、解約返戻金が相続人に支払われることになりますので、それを相続財産として申告します。

このようなケースの相続税の申告について、解約した場合、先程説明した通り準確定申告で解約返戻金について被相続人の所得税を申告します。この所得税は被相続人の債務になるため、債務控除として相続財産から控除することが可能です。

承継する場合の相続税との関係

相続人が共済契約を承継する場合、失念するケースが非常に多いので注意しましょう。これは契約を引き継ぐため、解約返戻金が返って来ないからだと思われます。

このため、個人事業主の死亡時の申告では、必ず倒産防止共済に加入していたかどうかを確認することをおすすめします。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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