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公的・企業・個人・遺族の各種年金の未収分と相続税

2023-01-112023-06-30

被相続人に支給されるべきだった未収年金の取り扱いは複雑

相続税を計算する際、未収年金の取り扱いが問題となることがあります。具体的には、被相続人に支給される予定だった未収年金を、相続後に被相続人の遺族である相続人が取得した場合の取扱いです。更に、この未収年金が公的年金か私的年金かで課税関係が異なりますので、特に注意が必要です。

未収が公的年金だった場合

未収が公的年金だった場合は、原則として相続税は非課税とされています。この理由は、被相続人の公的年金の未収年金について、被相続人の死後にそれを請求した相続人の固有の財産とされた判例があるからです。この判例により、被相続人ではなく相続人の財産とされますので、相続財産として相続税の申告をする必要はありません。

なお、相続税は課税されませんが、一時所得として所得税がその請求をした相続人に課税されることになります。

企業年金の未収年金

企業年金などの私的年金に係る未収年金は、原則として相続税が課税されます。ただし、企業年金と個人年金で私的年金は分けられますので、それぞれ相続税の取扱いが変わります。

企業年金は、在職中に被相続人の死亡、あるいは退職後年金をもらう段階で死亡かどうかで取扱いが変わります。在職中に死亡し、企業年金が遺族に支給されると、それは死亡退職金とみなされます。相続税は、一定の死亡退職金は相続財産とみなされて課税されることになりますので、これに準じて課税されます。なお、死亡退職金は、一定金額について非課税とされる場合があります。

一方で、年金を受給していた被相続人が死亡すると、その企業年金のうち未収年金は「定期金に関する権利」という特殊な相続財産とみなされて課税されます。ちなみに先の死亡退職金とは異なり、非課税という取扱いはありませんので注意が必要です。

個人年金の未収年金

個人年金の未収年金は、「年金受給権」として相続税の対象になります。この年金受給権は、先の定期金に関する権利と、同じような計算で評価されます。

遺族年金の取扱い

未収年金ではありませんが、念の為、遺族年金については、相続税はもちろん、所得税も非課税とされます。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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