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ストックオプションやREITの財産評価における注意点

2022-12-212023-06-30

REIT(リート)やSO(ストックオプション)を評価する機会はそもそも少ない

相続税を計算する上で、金融資産(株式や投資信託など)をどう評価するかが問題になりますが、中でも実務では経験する機会が非常に稀で、更にその評価方法に疑義が多いのがREIT(リート)やSO(ストックオプション)です。

REIT(リート)とは

REITとは、投資者から資金を募り、その資金を元手に不動産投資をし、それによって得る賃貸料収入や不動産売却益などの一定金額をリターンとして、投資者に配当する投資信託の一種です。REITは、正式には不動産投資信託と言われています。

REITは上場株式に準じて評価する

被相続人がREITに投資をしていた場合、それを評価した上で、相続税の申告を行わなければなりませんが、そこで問題となるのがこのREITの評価方法です。上場しているREITは、国税の通達によって評価方法が定められており、そこではREITの一口ごとに、上場株式に準じた評価方法で評価するとされています。

上場株式の評価は、以下の通り、最も低い金額で評価されるとなっていますので、これと同様に、REITの相場を見ながら評価することになります。

  1. 課税時期(相続開始時。以下同じです。)における最終の価格
  2. 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
  3. 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
  4. 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

なお、非上場のREITは、国税の通達に規定がありません。ですので、そのREITの実態に応じて、個別に評価する必要があります。

SO(ストックオプション)とは

SOは従業員などに交付されることが多く、事前に決められた価格で自社株を買うことができる権利を意味しています。仕事を頑張ることで会社の評価が上がり、それが自社の株価に反映され、結果的にSOの利益を得ることができることから、従業員などのインセンティブとして交付されています。

SOの評価方法

このSOについては、国税の通達では以下の通りです。

(1)無償で交付され、(2)上場している株式を目的としており、かつ(3)それが権利行使可能期間にあるものについて、評価方法が定められています。具体的には、以下の方法で評価します。

{(課税時期における株式の価額)-(権利行使価格)} × 取得できる株式の数

ちなみに非上場株式を目的とするものなど、これらの要件を満たさないSOについては、個別評価になると考えられます。該当する方は、専門家に相談すると良いでしょう。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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