あなたに寄り添う税理士 税務調査対策ドットコム 24時間受付中 税務調査対策の依頼はこちらから

非上場株式の個人間譲渡における評価の仕方

2022-11-222023-06-30

株式の評価は基本時価

税務上、非上場株式の譲渡で問題となるのがその金額です。なぜなら税務での前提は、株式は時価で取引する必要があるとされているからです。ただし非上場株式の時価は、正確な金額は誰にも分かりません。このような場合は国税の通達で所定の評価方法が設けられています。

この評価方法は、相続税における非上場株式の評価額(相続税評価額)について、一定の調整を行った金額とされます。詳細は割愛しますが、この国税の通達による方法で評価した金額で取引すれば、原則として税務上の問題は生じないことになります。

ちなみにこの評価方法で計算される金額は、相続税評価額よりも大きくなることが殆どです。

非上場株式の個人間譲渡の場合

ところが非上場株式を個人間で譲渡する場合、この金額ではなく、調整を行う前の相続税評価額で譲渡すれば、基本的には問題にならないとされています。

個人と法人、もしくは法人間での譲渡は、相続税評価額を調整した金額で譲渡する必要があり、個人間はそれよりも低い金額であることが多い、相続税評価額で譲渡すれば、原則問題はありません。

この理由ですが、個人間の譲渡について問題が生じた場合、対象になる税金は所得税ではなく贈与税になるからです。

低額譲受益と贈与税

個人間での譲渡の場合、その譲渡する金額が時価に比べて著しく低い場合には、その時価と譲渡金額との差額について、買主に贈与税がかかるとされています。この取扱いを低額譲受益の贈与税課税といいます。ここで課税される「時価」は、所定の財産を除き、原則として相続税評価額を意味します。

「贈与税は相続税の補完税」ーーこのような話を聞いたことがある人もいるかもしれません。贈与税がないと、生前贈与することで相続税の課税を逃れることが可能となります。ですから生前贈与に贈与税を課すこととされており、この点から相続税の補完税などと言われる訳です。

このため、贈与税の課税金額のベースと、相続税の課税金額のベースは同じになりますので、低額譲受益の贈与税課税についても、相続税評価額をベースに計算することで問題ないとされています。

非上場株式についても、この取扱いが適用されることになりますので、相続税評価額で譲渡すれば基本問題ありません。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

  • Twitterアイコン
  • facebookアイコン

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

この記事をSNSでシェア!

記載については、執筆者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、当サービス及び執筆者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。