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青色申告特別控除は修正申告で控除の増額が可能か?

2022-11-082023-06-30

青色申告特別控除とは

個人事業主の確定申告には青色申告特別控除という特別な控除が認められています。青色申告特別控除とは、適正な記帳であることを条件に、管轄の税務署長から承認を受ける申告で、納税者に大きな特典が与えられています。それは、2パターンあり、1つは10万円の控除です。もう1つは、貸借対照表を添付し、期限内申告をするような青色申告者に認められる控除で、要件を満たすと控除額が55万円(電子申告をするなど、所定の行為を行えば更に上乗せで65万円)となります。

修正申告で控除の増額は認められるか

青色申告特別控除のよくある問題として、最初の申告で10万円で控除を受け、その後に控除額を55万円に増額できるかどうかというという質問を受けます。つまり55万円控除を受けることを目的に、要件である貸借対照表なども添付していたが、間違って控除額を10万円としてしまったという事例です。

これについて、税務署から明確な公式見解は出ていません。しかし、多くの専門家は原則として青色申告特別控除の増額は認められないとしています。なぜなら税法上は、55万円控除を受ける場合、その旨を申告書に明記しておく必要があるとされているからです。

青色申告は取り消しされるか

ところで、税制上優遇されている青色申告では取消しという処置をうけることがあります。これは不正な取引がたくさんあるようなケースで見受けられます。青色申告の取り消しは、法令上、納税者の記帳が信頼できないというのが大きな理由です。

その一方で、青色申告の取消しは税制上の優遇特典を奪うため、非常に強硬的な制度とも言えます。事実、上記のようなケースに該当しても、取消しを行うことは実は多くありません。これについては、最高裁でも、青色申告の取消しは慎重に行うべきと判断しています。

しかし、青色申告の取消しされるかどうかとは無関係に、適正な記帳でなければ、55万円の控除を取り消して10万円控除とする、という処理はよく行われますので注意しましょう。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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