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売買目的有価証券(専担者売買有価証券と短期売買有価証券)の税務上の取扱い

2022-10-122023-06-30

売買目的有価証券とは

法人税には売買目的有価証券と呼ばれる有価証券があります。売買目的証券とは文字通り、売買することを目的に取得した有価証券となるのですが、税務上で特別な取扱いが認められています。

売買目的有価証券の特別な取扱いとは、期末に売買目的有価証券を保有している法人について、その期末時点での時価評価を算出し、含み益があればその分を課税し、含み損がでたら経費として利益を減らすことが出来るという内容です。

法人税は基本的に、時価評価を認めていないため、売買目的有価証券は例外的な取扱いとなっています。

専担者売買有価証券

売買目的有価証券には二種類あります。一つは専担者売買有価証券で、もう一つは短期売買有価証券です。

専担者売買有価証券とは、いわゆるトレーディングを目的に取得した有価証券です。国税の通達によると、基本的には、法人が特定の取引勘定を設けて有価証券の売買を行い、さらにトレーディングを日常的に行う人材や専門部署によって運用がなされているような有価証券を意味するとされています。

大きな会社は別にして、一般的な中小企業の場合、トレーディングを専門に行うような部署をおいていること自体、非常に少ないと思われますので、この専担者売買有価証券を目にすることは実務上多くないでしょう。

短期売買有価証券

短期売買有価証券とは、法人が税法で定められた所定の方法に基づいて、その有価証券の取得の日に、その有価証券を売買目的有価証券といった勘定科目により区分している場合の有価証券を意味するとされています。つまり帳簿の記載が重要で、帳簿で区分して記載していないような場合はこれには該当しません。

国税の通達によると、短期的に売買し、又は大量に売買を行っていると認められる場合でも、所定の区分がなされていないものについては、短期売買有価証券には該当しないとされています。つまり、実質的に判断されることもなく、短期売買有価証券に該当することも多くはないでしょう。

実務対応としては

一般的な中小企業の実務では売買目的有価証券を目にすることは多くありません。しかし、もしも上記のような処理がなされていれば適正な時価評価が必要になりますので、注意が必要です。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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