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ロゴ作成を依頼した場合に払う費用の税務上の取り扱い

2022-08-072023-06-30

ロゴ作成の費用は通常の外注費とは異なる

会社や商品、サービスなどを象徴するロゴですが、これを作成して貰うにあたって費用を支払う場合、その費用は通常の外注費とは異なります。なぜならロゴは、一過性のものではなくその効果が長期間に及ぶからです。法人税には「費用収益対応の原則」という考え方がありますので、費用と収益を対応させる考え方から、効果が数年に及ぶ費用については、一括ではなくその効果が及ぶ期間に渡り費用とすべきとされています。

複数年の費用とする場合

効果が及んでいる期間で費用とする場合、税務上は固定資産として減価償却するか、あるいは繰延資産として償却することになります。

ロゴ作成の依頼費用に関しては、それを商標権登録する場合、商標権という無形の固定資産として取り扱われるため、耐用年数10年間で償却するのが原則とされています

一方、繰延資産は効果が数年に及ぶ一定の費用を資産とみなします。ただし支出額が20万円未満の場合、資産にせず費用として処理することが可能です。

ちなみに20万円以上の繰延資産は、原則はその効果が及ぶ年数で償却する取り扱いになります。なお、この繰延資産は税法上の繰延資産と会社法上の繰延資産に分かれます。

会社法上の繰延資産

会社法上の繰延資産は、開発費など一定の資産を指し、任意償却が認められています。また一括で償却しても、少しずつ数年に分けて償却することのどちらも認められます。

ロゴ作成の依頼費用は、原則としてこの開発費に該当します。開発費とは「新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出した費用」を意味するとされています。

ロゴはまさに市場開拓を目的に特別に支出する費用で、開発費に該当するため、支出したタイミングで、その全額を一括で落とせることが原則となっています。

税法上の繰延資産

ロゴ作成の依頼費用であっても、特別に支出するものでないならば、税法上の繰延資産に該当する可能性があります。税法上の繰延資産は効果の及ぶ年数で、少しずつ費用とみなされることが強制されるため、会社法上の繰延資産よりも取扱いは厳しいです。

税法上の繰延資産か、あるいは会社法上の繰延資産のどちらに該当するか、この判断は非常に難しいです。しかも、税法上の繰延資産とされた場合の効果の及ぶ年数の判断も簡単ではありませんので注意が必要です。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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