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相続における生産緑地の評価

2022-07-012023-06-30

生産緑地とは

生産緑地法という法律で、生産緑地という農地が定められています。これは、一定期間営農を継続することを要件に指定されるもので、指定されると相続税や贈与税の納税猶予や固定資産税の優遇など、税務上のメリットを受けることができます。営農を継続、とあることからもわかりますが、この指定を受けると、税務メリットを受けることができる反面、農地を宅地化するといったことはできません。

相続税の土地の評価は、宅地化できれば高い評価になりますが、その制約を受ける場合、土地の評価は小さくなるという仕組みが採用されています。このため、生産緑地についても、その制約から評価減が認められる場合があります。

生産緑地の評価

具体的に、生産緑地の評価を見ていきます。生産緑地は、その土地が生産緑地でないものとして評価した価額から、次に掲げる生産緑地の別に、それぞれの割合を乗じて計算した金額を控除した金額により評価することとされています。

1 相続等があった時期において、市町村長に買取りの申出をすることができない生産緑地 課税時期から買取りの申出をすることができることとなる日までの期間に応じて、以下の割合

課税時期から買取りの申出をすることができることとなる日までの期間割合
5年以下のもの10%
5年を超え10年以下のもの15%
10年を超え15年以下のもの20%
15年を超え20年以下のもの25%
20年を超え25年以下のもの30%
25年を超え30年以下のもの35%

2 相続等があった時期において、市町村長に対し買取りの申出が行われていた生産緑地または買取りの申出をすることができる生産緑地 5%

なお、被相続人がその生産緑地の主たる従事者の場合は、この「買取りの申出をすることができる生産緑地」に該当することになります。

なお、上記におけるここでいう買取りの申出ですが、生産緑地について設けられている「買取りの申出」の制度をいいます。これは、生産緑地の指定の告示の日から起算して30年を経過する日以後、またはその告示後に農林漁業の主たる従事者が死亡した場合などに、生産緑地の所有者は、市町村長に対してその生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる、という制度を言います。

このような申出ができるのであれば、宅地化の制限をあまり考慮する必要はありませんので、上記の通り、5%という小さい割合のみの控除が認められています。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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