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転勤で住宅ローン控除の適用要件を満たせなくなったときの特例

2022-06-212023-06-30

住宅ローン控除の要件

所得税の代表的な節税の一つに、住宅ローン控除があります。これは、住宅ローン控除を組んで、住宅を新築等した場合に、所定の金額を数年間にわたり税額控除できるという制度ですが、その要件の一つに、住宅新築等した日から6月以内にその者の居住の用に供した上で、その居住日が属する年の12月31日まで引き続き居住の用に供する必要があるとされています。

ここで問題になるのは転勤です。転勤を命じられたため、新築してから6月以内に住めなかったり、いったん住んでいたのに年末までに出ていかざるをいなかったりしたため、住宅ローン控除を受けられないとなると、大きな不利益になります。

やむをえない事情がある場合の特例

この点を踏まえ、転勤などのやむを得ない事情がある場合には、一定の要件を満たすことで引き続き住宅ローン控除を受けることができるとされています。この特例は、大きく二つあり、一つは単身赴任の場合の特例、もう一つは家族を連れての転勤などの場合についての特例です。

単身赴任の場合の特例

単身赴任により居住などができなかった場合でも、配偶者など生計を一にする親族が上記の期間内に新築等した住宅に入居するなどすれば、住宅を購入した本人が入居したのと同視できるとして、住宅ローン控除の適用が受けられるとしています。ただし、その購入した本人が単身赴任が終われば、その住宅に住むことが見込まれている必要があります。

なお、注意点として、海外に単身赴任する場合には、取得時期により取扱いが異なる場合がありますので、詳細専門家に相談してください。

家族を連れての転勤の場合

家族を連れての転勤であれば、さすがに住宅に居住しているとは判断できませんので、住宅ローン控除の適用は認められません。ただし、一定の要件を満たす場合には、その住宅を再度居住の用に供した年以後については、原則として住宅ローン控除の適用が受けられるとされています。ただし、住宅ローン控除は、通常適用を受けることができる当初の居住年から数年間対象になるものですので、再居住した場合には、その対象になる年分にしか控除を受けられません。

注意点として、この場合、税務署に所定の手続きを取る必要がありますので、その点失念しないようにしてください。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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