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住宅取得等資金の贈与税の特例と問題になりやすいポイント

2022-06-142023-06-30

住宅取得等資金の贈与税の特例

よく使われる贈与税の特例の一つに、住宅取得等資金の贈与税の特例という制度があります。これは、父母や祖父母などの、いわゆる直系尊属から、居住用の住宅の新築等の資金(住宅取得等資金)の贈与を受けて、それを自分の住宅用の家屋の新築等のために充てれば、一定の要件を満たすことを条件として、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税になるという制度です。

問題になりやすい要件

ただし、この制度の適用上はさまざまな要件を満たす必要があります。そのうち、実務でよく問題になるのは「贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること」という要件です。ここでいう、新築等をしたタイミングがいつになるのか、問題になります。

この新築等ができたかどうかは、基本的には、期限までに完成引渡しがあったかどうかで判定することになりますが、新築については例外的な規定が設けられています。それは、工事が棟上げの状態まですすんでいれば、この適用を受けられるというものです。工期はさまざまな理由で遅延することもありますので、このような特例が設けられていると考えられます。

借入金の返済に回すと

その他、注意したい点として、贈与を受けた金銭を借入金の返済に回しても適用がないという点は重要です。具体的には、ローンを組んで住宅を買った後、そのローンの返済をするという目的で親からお金を贈与を受けたとしても、その贈与金額について本制度の適用はありません。あくまでも、贈与を受けた金額は、住宅の新築などに充てる必要があるからです。

盲点となりやすい点

ところで、この制度を使う方については、住宅ローン控除の適用上注意すべき点があります。住宅ローン控除は、住宅ローンの金額と、住宅ローン控除の対象になる住宅の取得に充てた取得金額のいずれか低い金額をベースに、毎年の控除額を計算します。ただし、本制度の適用を受ける場合には、その適用を受けた金額については、住宅ローン控除の判定の基礎となる住宅の取得金額から控除する必要があるとされています。

こちら、非常に忘れやすい点として、税務署からも注意喚起されていますので、失念しないようにしてください。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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