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住宅ローン控除の適用要件である「住宅の取得日」とは

2022-06-092023-06-30

住宅ローン控除とは

所得税の節税の王道中の王道である、住宅ローン控除については、確定申告の時期になると多くの質問が寄せられます。住宅ローン控除は、単に住宅ローンを組んで自宅を新築等すれば適用されるものではなく、いろいろと細かい要件があります。その中で、よく質問を受けることの一つが、「新築または取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」という要件です。住宅の取得日と言われても、住宅に関しては契約日やローン設定日、登記日などいろいろ該当しそうな日があり、この新築または取得をどのように判断するのかについて、疑義が生じます。

住宅の取得日は引渡し日

結論から申し上げますと、この新築または取得の日とは、住宅となる建物の引渡しを受けた日を意味するとされています。所得税に限らず、消費税や法人税もそうなのですが、建物についてはその「引渡し」で取引を認識するという考え方があり、この考え方に沿う形で住宅ローン控除の仕組みも作られていると考えられます。

なお、「引渡し」と言っても、具体的にそのタイミングを判断するのは難しいです。この点、税務的にはあらゆる事実関係を考慮した上で、建物の引渡しがあったと判断できる日がこれに該当するとされていますが、一つの参考として、建物の鍵の引渡しを受けた日がそれに該当するとされることが多いです。

大工さん自ら家を新築した場合に住宅ローンは適用になるか

話は変わりますが、先日大工さんの住宅ローン控除の相談を受けました。大工さんが自分で家を新築した場合、その新築した物件が住宅ローン控除の要件を満たせば、自分が自分に請負契約を依頼したとして、住宅ローン控除の適用を受けられないか、というのです。

この点、親族などの特別な関係者から取得等した住宅については、住宅ローン控除の対象にならないという規定があります。一方で、自分からの取得はこの対象に挙がってません。ただし、自分から自分への請負、ということはそもそもありえない話なので、一見すると対象にならないようにも思われます。

この点、民間企業が発行している過去の質疑集などを見ると、自分からの取得も禁止されていないので対象になると解説されています。ただし、住宅ローン控除の対象になる取得金額としては自分が労務提供するため、材料費などに限定されるのでは、ということでした。

このあたり、国税も見解を出してもらいたいところです。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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