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医療費控除となる通院交通費にタクシー代は含まれるか

2022-05-272023-06-30

医療費控除と還付

確定申告シーズンにおいては、サラリーマンの方が源泉徴収税額の還付を求めるため、医療費控除の申告をしたいという相談を受けます。医療費控除とは、生計を一にする家族世帯の合計で、原則として年間10万以上の足切りを超える医療費を支払った場合、その超える部分について所得税の控除を認める制度です。通常、サラリーマンは年末調整により一年間の所得税額を計算され徴収されますが、医療費控除を受けるためには確定申告をする必要があります。このため、医療費控除の適用があれば、年末調整で徴収された所得税の一部について、過大に徴収されていることになり還付を受けることが出来るのです。

交通費は医療費控除の対象になる

一般の方と話をしていて、よく驚かれるのが医療費控除の対象に、通院のための交通費も含まれるということです。医療費控除の対象になるのは、医療を受けるために直接必要とされるものをいい、公共交通機関を使って病院に通院する場合の交通費は、これに含まれると解説されています。

なお、医療費控除の適用を受ける場合には、医療費の領収書を5年間自宅で保存する必要があり、税務署から指示を受ければ、それを提示しなければならないとされています。交通費はスイカなどを使い、切符や領収書をもらうことはほとんどありませんので、交通費を申告する場合には、エクセルなどで明細を纏めておく必要があります。

タクシー代は原則として医療費控除の対象外

交通費が対象になる以上、通院のためのタクシー代もOKのように思われますが、原則として対象にならないとされています。と言いますのも、医療費控除の対象になるのは「病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」とされているからです。公共交通機関であれば別にして、タクシー代は高額であるため、この要件に原則として当たらないと国税庁は解説しています。

とは言え、急激な体調の悪化で体力的に公共交通機関を利用できない場合や、急を要するためやむを得ずタクシーにならざるを得ない場合もあります。加えて、地方では公共交通機関の運行本数が少ないこともあるでしょう。このように、公共交通機関の利用が困難なケースは、タクシー代も医療費控除の対象になると解説されています。

簡単に言えば、タクシーに乗らざるを得ないような理由があるかの問題となり、その判断は難しい部分もありますから、その場合には税務署や税理士に相談してください。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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