あなたに寄り添う税理士 税務調査対策ドットコム 24時間受付中 税務調査対策の依頼はこちらから

使用貸借の贈与税の注意点

2022-05-102022-05-10

使用貸借とは

土地などを他人に貸す場合、お金を貸して貸す場合と、無償で貸す場合があります。前者は賃貸借と言われ、後者は使用貸借と言われます。両方とも、民法で認められている契約形態ですが、課税関係は大きく異なります。

使用貸借について補足しますが、税法は無償で資産を貸したり、資産を譲渡したりすることに非常に厳しいです。これを許してしまうと、無償で取引することで税金を小さくすることができるからです。このため、無償の取引については、時価で取引したという前提に立つのが大原則です。

貸手が法人との取引

この大原則が明快になるのが、貸手が法人である場合の取引です。法人が他人に使用貸借で土地を貸すような場合、相場の賃料を収入した上で、その収入金額を寄付するなどしたとして取り扱われます。この寄付等については、法人で経費が制限されます。

それにとどまらず、土地を貸す場合、原則として権利金をやり取りします。この権利金についても、その収受があったして、一定の場合を除き法人税が課税されることになります。

個人間の使用貸借は例外

その一方で、個人間の取引については、原則として使用貸借が認められています。この理由は、個人間の取引は他人というよりも、子や親など親族間で行われることが多いからです。親族間であれば、敢えて賃料をとることもないでしょう。

結果として、土地を個人間で使用貸借で貸したとしても、権利金をやり取りしたとして課税されることはありません。反面、権利金をやり取りしないということは、土地を使用する権利もやり取りしていないとして、土地を相続した場合、更地と同じ金額で評価されることになります。

土地の評価は借地権などの権利が設定される場合にして、更地の評価は非常に大きいですから、使用貸借の土地の評価は高くなります。

賃料は贈与税の対象

一点、忘れてはいけないのは、あくまでも権利金の課税がないというだけで、相場の賃料については課税対象になる、ということです。使用貸借の場合、相場の賃料もやり取りしませんが、それは贈与税の対象になりますので、贈与税の課税最低限である年110万を超えるような場合には申告が必要になることもあります。詳細、税理士などの専門家に相談してください。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

  • Twitterアイコン
  • facebookアイコン

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

この記事をSNSでシェア!

記載については、執筆者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、当サービス及び執筆者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。