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資本剰余配当金とグループ法人税制

2022-04-282022-04-28

資本剰余金の配当

会社法上、資本剰余金の配当が認められています。通常、配当と言えば会社が稼いだ利益から行います。しかし、株式を発行する場合など、いわゆる会社の元手である資本取引において生じる剰余金があり、それが資本剰余金などですが、この資本剰余金については一定の要件を満たす場合配当することができるとされています。

税務上の取扱い

この資本剰余金の配当については、税務上、みなし配当として取り扱うこととされています。みなし配当とは税法で配当とみなすものを言います。詳細は割愛しますが、税法は利益と資本を厳しく分ける必要があるとされており、資本剰余金の配当のうち、法人税の計算において法人税の利益から配当したとされる部分とそれ以外の部分に分けた上、前者については通常の配当とみなされるとして、みなし配当として取り扱われます。

配当以外の部分

一方で、上記の配当以外の部分については、資本剰余金の配当をした法人においては、資本の減額として取り扱うことになります。反面、資本剰余金の配当をもらう法人の株主については、自分のその法人に対する持分が減ったという処理をすることになります。具体的には、自分が持っている株式の一部を売却したとして、その売却損益を認識することになります。

この取扱いは個人の株主も同様であり、資本剰余金の配当を受け取った場合には、譲渡所得の申告が必要になる場合があります。詳細、税理士などの専門家にご相談ください。

グループ法人税制の適用がある場合

これだけ聞くとかなり複雑に思われますが、ここにグループ法人税制という法人税法の規定が関係すると更に複雑になります。グループ法人税制とは、100%の支配関係がある法人間の一定の取引について、原則として同じ法人の取引とし、課税関係をできるだけ生じさせないようにする制度です。

先の資本剰余金の配当についても、この考え方が関係し、100%関係にある法人から資本剰余金の配当を受けた場合には、みなし配当とされる配当部分は100%非課税になり、それ以外の株主において株式の譲渡とされる部分については、売却損益を計上しないこととする取扱いになっています。

非常に複雑な取扱いですので、実際に行う場合は予め税理士などの専門家に相談しながら処理するべきと考えられます。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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