あなたに寄り添う税理士 税務調査対策ドットコム 24時間受付中 税務調査対策の依頼はこちらから

社会保険料控除の要件である「支払い」と生計一の判断時期

2022-04-262022-04-26

社会保険料控除の要件

個人が自分ないし生計を一にする親族の社会保険料を支払った場合、所得税の計算において、社会保険料控除を受けられます。この社会保険料控除の要件として、その控除を受ける者が現実に「支払う」ことが必要になります。この支払う、という要件から、過去の社会保険料についても、当年において現実に支払ったのであれば、当年の所得税の計算上社会保険料控除の対象とすることが出来るとされています。

なお、翌年分の社会保険料を支払った場合には、その前納期間が1年以内であれば、当年の社会保険料控除の対象になります。

生計一の判断時期

上記の通り、社会保険料控除の対象になるのは自分と生計を一にする者の社会保険料ですので、子の国民健康保険料などを実際に自分が払えば、その金額も社会保険料控除とすることができます。このため、年収が高い者が社会保険料を支払えば、年収が高ければ高いほど税率が増える累進課税の影響で、節税になる可能性があります。

この場合の生計を一にするかの判断時期についても、その「支払う」時点とされています。このため、例えば子が結婚で家を出て生計一でなくなったような場合には、結婚で家を出たタイミングまでの社会保険料については、自分の社会保険料控除の対象にすることができます。

天引きや特別徴収の取扱い

ところで、この支払いについては、天引きや特別徴収も含まれるとされています。このため、給与から天引きされた社会保険料や、公的年金から特別徴収から社会保険料についても社会保険料控除の対象にすることができます。

ただし、注意したいのは天引きや特別徴収は、実際にその天引きや特別徴収を受けた者が支払ったと判断されるということです。このため、例えば自分より年収が低い妻の給与から天引きされた社会保険料について、より年収が高い自分の社会保険料控除の対象にして節税する、という取扱いはできません。

口座振替も同様

同様に、口座振替により支払われる社会保険料についても、その振替口座を管理する名義人が支払ったとして、社会保険料控除の対象にすることとなります。このため、実際に社会保険料に相当するお金を名義人に支払ったとしても、対象にはならないと考えられます。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

  • Twitterアイコン
  • facebookアイコン

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

この記事をSNSでシェア!

記載については、執筆者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、当サービス及び執筆者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。