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令和4年度税制改正で調整が入ったインボイス制度の変更点とは

2022-04-212022-04-21

令和4年度税制改正の調整

令和5年10月1日からスタートするインボイス制度について、令和4年度改正においてはいくつかの調整が行われました。この調整の改正のうち、押さえておきたいものを紹介します。

中途での登録の特例

インボイス制度は消費税を納める義務がある事業者(課税事業者)しか発行できませんので、消費税が免除される免税事業者は、インボイスを発行するためには、課税事業者になる必要があります。制度は令和5年10月1日からスタートすることを踏まえ、特例として、同日から免税事業者がインボイスを発行するために、同日から課税事業者になれるとされています。

結果として、例えば3月決算の法人は、令和5年4月1日~9月30日は消費税の納税義務がなく、令和5年10月1日~令和6年3月31日までは消費税の納税義務があることになり、年度の中途で課税事業者になることになります。

この年度の中途で課税事業者になれる特例については、現状令和5年10月1日が含まれる年度しか適用できないとされていますのが、令和4年度改正においては、令和5年10月1日~令和11年9月30日の属する年度においても適用できることとされました。

仕入明細書の特例

インボイス制度後は、インボイスの交付を受け、それを保存していなければ消費税の控除が受けられないことになります。ただし、特例として、売手からインボイスの交付を受けず、買手がインボイスに記載すべき一定の事項を記載した仕入明細書について、売手の確認を受け、その保存をすることで消費税の控除を受けることが出来る場合があります。

この仕入明細書の特例について、令和4年度改正において適正化が行われます。現行の制度では、売手が中古車を販売業者に売るサラリーマンのような場合でも、仕入明細書の特例の対象になるとされています。しかし、消費税は事業を行う事業者に対して課税され、サラリーマンのような非事業者には課税されませんので、現行の取扱いではサラリーマンが消費税を納めないのに、販売業者は消費税の控除ができる、という不当な取扱いになります。

この点を踏まえ、今後は仕入明細書の特例は、売手において、消費税が課税される売上を計上する場合に限り、適用されることとされます。詳細は今後ですが、買手においてその確認が必要になる可能性もありますので、今後の改正の動向に注意してください。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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記載については、執筆者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、当サービス及び執筆者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。