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国税庁が明らかにしたNFTの税務上の取り扱いとそれによる影響

2022-04-152022-04-15

NFTとは

最近話題になることの一つに、NFTがあります。NFTは非代替性トークンと訳されるもので、デジタルアートの証明ができる仕組みです。これを使うことで、デジタルアートを取引することができるなど、さまざまなメリットがあります。なお、トークンとあることからもわかる通り、ブロックチェーンという暗号資産の仕組みと同様の仕組みを採用しています。

このNFTについて、数億円単位で取引されるなど、巨額の取引がなされたことが報告されることも増えていますが、日本の税制においては、どのような取扱いになるのか必ずしも明確ではありませんでした。しかし、この度国税庁から見解が提示され、今後はこれに従って処理することになります。

NFTの所得区分

個人がNFTに係る取引をした場合、国税庁ホームページにおいては、以下の取扱いになると解説されています。

1 サービスの対価などとしてNFTを取得する場合

自己が行ったサービスの対価としてNFTを取得した場合、それはサービスの種類に応じて、事業所得又は雑所得、もしくは給与所得に該当するとされています。このため、給料としてNFTを取得した場合は給与所得になり、個人事業の対価としてもらえば、その規模などに応じて、事業所得か雑所得かを区分することになります。

2 NFTを譲渡した場合

こちらが特に疑問視されていたものですが、NFTを譲渡した場合、それは原則として譲渡所得になるとされています。ただし、NFTの売買を事業とするような場合には、事業所得や雑所得になるとされています。

NFTの譲渡の明確化が大きい

今回、NFTの譲渡が原則として譲渡所得になるとされたのが非常に大きいです。譲渡所得は他の所得に比し、課税が優遇されている場合が多いからです。NFTはデジタルアート的なものですから、著作権の譲渡と同様に、ストレートに考えれば譲渡所得になります。しかし、暗号資産に類似した、という性格を踏まえれば、暗号資産の譲渡は雑所得ですので、雑所得とされる可能性があるとも言われていました。

ただし、雑所得は税制面で優遇されていませんので、こうなると高い所得税が課税されることになります。こういう訳で、今回原則譲渡所得とされたのはありがたいですが、課税の明確化のためにも、暗号資産とNFTの違いなどについて、国税は明確に説明する必要があると考えます。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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