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上空使用料の課税関係

2022-03-312022-03-31

上空使用料とは

不動産を保有される方の申告で、よく問題になることの一つに上空使用料があります。これは、文字通り自分の土地の上空の使用料で、その土地の上空を通過する送電線に対し、電力会社が支払うものをいいます。

この上空使用料ですが、土地の上空を使用するという意味で土地の貸付けと同視できますから、所得税の申告においては、不動産所得として申告する義務があります。

一括でもらうことが多いためミスの可能性

この上空使用料ですが、3年分を一括してもらうようなことが多いようです。この場合、申告するタイミングですが、原則として毎年申告することになります。といいますのも、電力会社との契約においては、毎年1回支払われるような文言で書かれていることが原則だからです。

不動産所得の収入については、原則としてその支払日に計上することになっています。このため、通常の賃貸借契約であれば、家賃の支払日に収入金額を認識します。これと同様、毎年支払われるのであれば、毎年按分して上空使用料を申告することになります。

この場合、3年分を一括でもらうのであれば、もらったタイミングでは収入を認識するものの、その後はお金が入ってきませんので申告を忘れてしまうことがあります。貸借対照表を作成していれば前受金として把握することもできますが、不動産所得の申告においては貸借対照表の作成は義務ではありませんので、失念してしまうことが多いので注意が必要です。

法人税の注意点

これに関連して、法人においても上空使用料を収入することがありますが、法人は貸借対照表の作成義務がありますのでその申告を失念することは基本的にはありません。しかしながら、通常は申告義務がない法人、人格のない社団や公益法人については注意が必要です。

これらの法人は収益事業と言われる一定の事業を行う場合に限り、法人税が課税されますが、その収益事業の範囲の中に不動産貸付業があります。上空使用料は土地の貸付の一環ととらえられますので、これについても不動産貸付業に当たり、上記の法人も申告義務が生じますので注意してください。

消費税の取扱いは

上空使用料は土地の貸付けの対価になりますので、消費税においては原則として非課税売上とされます。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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