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フェラーリの経費性が否認された事例

2022-03-032022-03-03

フェラーリクルーザー事件

税務上、よく引用される事例の一つに、フェラーリクルーザー事件と言われる事件があります。この事件では、会社の業務で使われたかよく分からないクルーザーについては会社の経費にならないとされた一方で、フェラーリについては、いちおう運行記録などから会社の業務に使われたと推定できるため経費になるとされました。

この事件を基に、フェラーリについては、それが高額であっても、実際に事業に使われたことが分かれば、経費になると言われます。

フェラーリの経費性が否認された事例

しかし、この事例とは別に、フェラーリの経費性が否認された事例があります。この事件では、限定生産されたフェラーリについて、価値が減価しないという点から、減価償却資産にならないとして、経費性が否認されたのです。

フェラーリのような固定資産については、それが使える期間(耐用年数)に応じて、少しずつその取得価額を経費とする処理(減価償却)が行われるのが通例ですが、その例外として、「価値が減価しない」資産については、減価償却の対象にならないとされています。限定生産されたフェラーリは、この資産に該当し、減価償却の対象にならないとされ、一円も経費にならないとされた訳です。

なお、この価値が減価しない資産の具体例として、ストラティバリウスという17~18世紀につくられた、超高級の楽器が挙げられます。この楽器については、国税の否認事例があり、聞くところによると数億円もの否認が行われた模様です。

公道を走ればOKという事例も

その一方で、フェラーリの減価償却がOKとされた事例もあります。これも先の事例と同様、限定生産のフェラーリなのですが、限定生産でも数千台作っているので希少性はなく、公道を走れる車なので減価するといった理屈で減価償却が認められるとしています。

このような判断になった理由ですが、この事例は実は譲渡所得の事例だったからです。譲渡所得の計算上、譲渡した資産の取得費を控除することになる訳ですが、その取得費から減価償却費を差し引くことになっています。このため、税金を取りたい国税にとっては、減価償却してもらった方が譲渡所得の計算では都合がいいことになり、結果としてこのような判断になったと思われます。

税金を取るためなら何でもやるのが国税ですから、それに見習って、我々も不当な課税から身を守るために何だってやりましょう。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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