保険金受取人を変更しなかった場合の課税関係
2022-03-012022-03-01
相続税における死亡保険金の取扱い
相続税法上、被保険者である被相続人が死亡したことにより、相続人などに支払われる死亡保険金については、その保険金のうち被相続人が負担した掛金に相当する部分につき相続財産とみなされることになっています。死亡保険金は民法上、相続財産に該当しないとされていますので、遺産分割の対象にも原則なりませんが、被相続人の死亡により支給され、かつ被相続人の財産の一部が掛金として払い込まれていますので、被相続人の相続財産と見ても問題ないことからこのような取扱いがなされているのです。
この場合、その死亡保険金を受け取った相続人に対して相続税が課される訳ですが、その受取人がすでに死亡しているものの、保険会社に受取人の変更手続きをしていないような場合、どのような課税関係になるのか問題になることがあります。
保険法においては
保険法上、保険契約者は、保険事故が発生するまでは、被保険者の同意を得て保険金受取人の変更ができるとされていますので、仮に保険事故である被保険者が死亡する前に受取人が死亡した場合には、保険契約者が受取人の変更をすることができます。しかし、保険契約者がこの手続きを行っていない場合には、その死亡した死亡保険金の受取人の相続人の全員が保険金受取人になるとされています。
このため、受取人が死亡していた場合には、その相続人が死亡保険金の申告を行うことになる訳ですが、ここでよく間違えるのは、保険金を受け取る割合です。
法定相続分ではない
相続人が受け取る割合と聞くと、基本的には法定相続分を意味すると考えがちです、法定相続分は民法が規定する相続の割合で、よくある配偶者と子供が相続人である場合には、配偶者が1/2、子供が1/2(子供が複数いればその人数で原則この割合を按分する)とされています。
しかし、上記の死亡保険金を受け取る割合は法定相続分ではなく、相続人の数で均等に割った割合とされています。このため、配偶者と子供二人が受取人の相続人であれば、それぞれ1/3ずつ死亡保険金を取得することになります。
その他の注意点
その他、上記の取扱いで死亡保険金を申告する保険金受取人の相続人が、被保険者である被相続人の相続人でない場合には、死亡保険金の非課税の適用を受けられないなどの不利益が発生する場合もあります。
このあたり、早いうちから対策を取る必要があります。
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