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寄附金と給与と広告宣伝費

2022-02-102022-02-10

寄付金とは

会社の税務上、問題になる費用の一つに寄附金があります。寄附金とは税務上対価性のない支出を意味し、寄附金を支出してもそれが国等に対するものでない限り、原則としてその支出額の全額は経費になりません。このため、寄附金に当たるかどうか実務ではしばしば問題になります。

寄附金との差が問題になりやすい費用として、給与や広告宣伝費が挙げられます。

寄附金と給与

実務上、社長の出身校に寄付を行う、といったことが見られます。このような場合、寄附金ではなく社長に対する賞与と見られる可能性が大きいです。この理由は、寄附をした理由が、会社の事業ではなく、社長の縁故によるもの、と判断される可能性が大きいからです。すなわち、社長などが個人的に負担すべき寄附金は給与とされる訳で、このような支出があれば、個人的に負担するべきものではなく、会社が負担するべきものである理由について、きちんと整理する必要があります。

寄附金と広告宣伝費

寄附金は対価性のない支出であり、広告宣伝費はそれを支出することで売り上げの増加につながりますので、対価性のある支出ですから広告宣伝費は寄附金にならず、その支出額は全額が経費とされます。なお、少し脱線しますが、広告宣伝費は不特定多数の者への広告宣伝効果を意味するものとされていますので、特定の者に対するものについては、広告宣伝費以外の費用(交際費など)になるとされる場合があります。

話を戻しますが、寄附金と広告宣伝費の違いが問題になるのは、企業の社会責任などの観点で寄附をし、その寄附について広告宣伝効果を期待することもあるからです。この点、どのように区分するのかなかなか難しいですが、客観的に見て広告宣伝と見ることができるか否かの話になり、特定の人にしかアピールできないような費用であったり、主目的が寄附金と判断されるような費用であったりすれば、それは寄附金と判断される可能性があると考えられます。

被災地への支援は寄附金にならない

その他、上記に関連して、被災地に自社製品を提供するような費用は、それが特定の団体などに対するものでない限り、寄附金には当たらないとされます。災害支援という点から経費の制限をするべきではありませんので、原則としてこのような自社製品の提供は、不特定多数の者に対する自社の広告として、広告宣伝費足りうるとされています。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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