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法人税と源泉所得税に係る重加算税の取扱い

2022-01-272022-01-27

重加算税とは

税務調査において、脱税などの不正行為があった場合、重加算税というペナルティーが課税される場合があります。通常、申告漏れなどのミスがあった場合、原則として申告がもれた税額に10%の加算税というペナルティーが課税されますが、不正行為に対しては悪質ということで、原則35%という高率の加算税となり、これが重加算税です。

国税職員は重加算税を課税すると評価が高くなりますので、あの手この手を使って重加算税を課税しようと、日夜努力しています。

源泉所得税との関係性

ところで、実務上よく問題になるのは、法人税の課税に伴って、源泉所得税の税額も増える場合です。具体例として、売上を隠してプールしておき(売上除外)、そのプールしていたお金を社長が遊び金として使う場合がこの典型です。この場合、社長が遊び金として使ったので、その使ったお金は社長に対するボーナス(認定賞与)とされます。ボーナスに対しては源泉所得税が課税されますので、この場合には売上除外したことに対する法人税の課税と、認定賞与とされた源泉所得税の課税の両方が発生します。

ダブル課税は不可

売上除外は不正行為ですので当然に重加算税の対象になりますが、この場合、認定賞与で課税される源泉所得税については、重加算税は原則として課税されません。遊び金として使う、ということも不正行為であることに相違ありませんが、両方に重加算税をかけると負担が大きいこともあって、どちらか一方にのみ重加算税を課税するとされています。なお、この場合にはまず法人税に対して重加算税が課税されることにます。

ダブルでなければOKなので

一方で、ダブルでなければ問題ないので、法人税で重加算税が課税されない場合には源泉所得税には重加算税が課税されます。具体例として、欠損金の繰越控除を受ける場合が挙げられます。欠損金の繰越控除は過去の赤字を当期の黒字と相殺できるとする制度を言います。このため、仮に当期に売上を除外していたとしても、その除外した売上を相殺できるだけの過去の赤字があれば、結果として黒字になりませんので当期に法人税は発生しないことになります。

重加算税は追徴される法人税に対して課税されますので、このようなケースは法人税の重加算税は発生しません。となると、ダブル課税になりませんので、源泉所得税に対して重加算税が課税されることになります。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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