所在者不明土地に係る制度改正
2022-03-182022-03-17
所在者不明土地とは
現状、社会問題になっていることの一つに所在者不明土地があります。これは、不動産の登記簿などで所有者が判明しないような土地を言います。相続が発生した場合、土地の所有者は変わりますが、登録免許税などの負担が発生するため登記を変えていないこともよくあり、このようなことが繰り返されると真実の所有者が分からないことになります。
このような所在者不明土地があると、例えば公共事業で土地を収用する場合、誰と交渉すればいいのかよく分からず、公共事業が阻害されるような問題が発生します。それにとどまらず、治安上よくない空き地も多数発生することにもつながりますので、この所在者不明土地の対策が大きな課題になっていました。
相続登記の義務化
このような問題を踏まえ、不動産を相続した相続人については、取得を知ってから3年以内に相続登記することが必要になります。この登記を怠ると、10万円以下の過料の対象にもなりますので、注意が必要です。
なお、この登記の義務化は令和6年4月1日から施行されることになっており、かつ過去の相続に対しても適用されることになっています。
相続土地国庫帰属法という制度
その他、令和3年4月に、相続土地国庫帰属法という法律が成立しています。この法律は、相続した土地の所有権を、国に譲り渡す制度を言います。土地の維持管理に膨大なコストが発生することもあって、所在者不明土地が増えることから、この負担を軽減するために設けられた法律です。
具体的には、相続した土地のうち、要らない土地について、その管理に要する10年分の費用を納付した上で、その所有権を国にしてもらうよう承認を求める制度です。10年分とあることからも分かる通り、実は所有権を国にしてもらうためにはかなりハードルが大きいと言われます。
実際のところ、建物が立っている土地や担保が設定されている土地、その他有害物質に汚染されている土地など、管理処分が難しい一定の土地については、国は引き取ってくれないようです。このような土地こそ、まさに何とかしてほしいのに何とかしてくれない制度になっていますので、使い勝手はよくないと考えられます。
なお、この法律は令和5年4月27日より施行されるとされています。
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