インボイス制度とは
2021-12-272022-07-14
一言でいうと?
インボイス制度に登録された個人事業主は取引上支障は生じないが納税義務が発生します。
目次
インボイス制度とは
消費税が10パーセントに引き上げられた事がきっかけで、2023年(10月1日〜)からはじまる消費税に関する制度を、インボイス制度と言います。
正式な名称を「適格請求書等保存方式」と言うこの制度は、仕入税額の控除を適用する為の新しい改正制度です。
今後は、この制度の条件を満たした請求書をもとに納税しなければならない消費税の計算を行わなければなりません。
消費税の納税義務が生じ得る企業、個人事業主等は勿論、免税事業者であってもこの制度を知っておくべき対象者と言えるでしょう。
インボイス制度の「インボイス」について
そもそも「インボイス(適格請求書等)」は「仕入先が消費税を負担している事を証明する請求書」を指します。
インボイスが確認されると、仕入時の納税と売り上げの納税とで重複する事を防げます。
こうして税の累積が排除出来るのが当該制度の意義です。
元々この制度が無かった頃だと、免税事業者からの仕入れた場合、自社は消費税の控除ができる反面、その免税事業者は消費税を納税せず益税が発生しましたが、そのような問題が解消される事になります。
インボイス制度と益税問題
このインボイス制度がはじまる事で、上記以外の物事のこじれが改善される望みがあります。
消費者が商品購入時等に対価の支払いと共に負担した消費税は、正しくは国庫に収納がされるべきですが、事業者が法の抜け道からその消費税分をポケットに入れてしまうケースが少なくありません。
これを益税問題と呼びます。インボイス制度がはじまると、この益税問題防止が可能になると考えられています。
インボイス制度の導入時期
インボイス制度は消費税が2019年10月から、10パーセントに引き上げられたことをきっかけに創設された制度ですが、その導入は2023年(令和5年)10月1日からになります。
また導入の準備を目的に、2019年(令和元年)10月1日から、2023年(令和5年)9月30日までの期間を「区分記載請求書等保存方式」を仕入税額控除の要件にしています。
区分記載請求書等保存形式とは
制度導入以前より仕入税の税額控除適用には法定事項が記載済みの帳簿と請求書等の保存が必要でしたが、ここに幾つかの追加事項が加わった状態を「区分記載請求書等保存方式」と呼びます。
2019年(令和元年)10月1日より導入された軽減税率に伴い、軽減税率対象品目である旨を帳簿に記載する事と、保存が必要な書類に関してはこの項目に加え税率毎の税込取引金額を記載する事が要件に加わりました。
これらの記載が抜けていると対象期間の控除は受けられません。
インボイス制度を利用するには
インボイスの発行には納税地を所轄する税務署の税務署長宛に登録申請書の提出を行い、適格請求書の発行事業者に登録される事が必要です。
この登録は、制度が適用されるより前、2021年(令和3年)10月1日より可能です。
登録申請後、審査を経て登録が完了すると、登録番号が付与された適格請求書の発行事業者である為にインボイスの発行が可能になります。
e-Taxからも登録申請書の提出を行うのは可能ですが、その場合は登録が完了した際の通知もe-Tax上に届く為、注意が必要です。
個人事業主とインボイス制度
インボイス制度が本格導入された後で予想されるのは、取引間でインボイスに対応した事業者か否かが一種の取引判断材料になり得るという事です。
それは個人事業主であっても同様で、インボイスを発行できない事業者より、発行出来る登録された個人事業主の方が取引先としては好ましいとされるでしょう。
この理由は、インボイスを発行できる事業者からの仕入に対しては消費税が控除できる反面、それ以外の事業者からの仕入は控除が認められないからです。
しかしこの登録には消費税課税事業者になる必要があり、免税事業者ではいられなくなります。
今まで納付免除をされていた事業者の方も今後は上記にもある防止策的側面のあるこの制度の施行によってその恩恵を諦める必要があります。
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インボイス制度に対応した事業主になる為に
インボイス制度が日本で導入される事は初ですが、海外では既に導入されている国もあります。
日本の税制が公正で柔軟なものである為に、またその税制に則って公正な納税を行う為に、この制度の意義と仕組みを理解し自分の立場と照らし合わせ、対応していく必要があります。
今まで免税対象だった個人事業主の方々も、当該制度が開始する事で、消費税の事が他人事ではなくなります。
しっかり対策を練り対応していきましょう。